研究課題
本研究は,インターネットサービスを提供する基盤システムを対象に,その耐障害性の向上と運用コストの削減(省電力化)を目標とするものである.特に,ゲーム理論の成果をもとに,各ノードを利己的に振る舞う自律的主体と見なすことにより,拡張性の高いシステムの構築を目指すものである.平成25年度の前半では,前年度に引き続き,故障ノードの代替のアルゴリズムと,システム全体の負荷に応じた稼動ノードの最適化のアルゴリズムを考案した.これらのアルゴリズムは,ポテンシャルゲームと呼ばれるゲームのクラスによるモデルを用いて,既存の受動的複製手法などを参考に構築されたものである.また,平成25年度の後半では,先に考案されたアルゴリズムを,シミュレーションとプロトタイプ実装によって評価した.耐障害性については,過半数のノードの故障やネットワーク分断などに耐性を有することが示され,また省電力化についても,ノード間での負荷に偏りが生じるような場合についても,自律的に負荷の集約が行われることが確認された.これらの成果は,2本の国際会議論文などによって発表された.本研究課題の遂行により,当初の目標であるゲーム理論による基盤システムの基本的なメカニズムの構築は,おおよそ達成されたと言える.一方,今後の研究の展開に向けた課題としては,耐障害性を向上と省電力化の二つのメカニズムを完全に統合したより実用的なシステムの構築が挙げられる.また,当初想定していた協力ゲームをもとにしたアルゴリズムの可能性について検討することも有意義であると考えられる.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
IEEE Third International Workshop on Cloud Computing Interclouds, Multiclouds, Federations, and Interoperability
巻: - ページ: pp.410-416
IEEE International Workshop on Software Defined Systems
巻: - ページ: pp.550-555