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2012 年度 実施状況報告書

ダイナミクスを有する超大規模分散システムのためのメゾスコピック設計・解析手法

研究課題

研究課題/領域番号 24650012
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関大阪大学

研究代表者

増澤 利光  大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (50199692)

研究分担者 大下 福仁  大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (20362650)
角川 裕次  大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (80253110)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードアルゴリズム / 分散システム / ネットワーク / メゾスコープ
研究概要

本研究の目的は,超大規模動的分散システムを対象とした分散アルゴリズムの,メゾスコピック設計・解析法を新たに提案し,その有効性を実証することである.具体的には,以下の研究課題に取り組む.(1) メゾスコピックアプローチのための超大規模分散システムモデルの検討.(2) 事例研究による,メゾスコピックアプローチの有効性の実証.(3) メゾスコピックアプローチに基づく設計・解析法の方法論の検討.
今年度は,年度当初の計画通り,研究課題(1)および(2)に取り組んだ.各研究課題についての成果を以下にまとめる.
研究課題(1)については,分散システムの空間・時間的サブシステムの抽出とそのモデル化に取り組んだ.また,実際の分散システムとして,最近,特に注目されている,Hadoopを取り上げ,メゾスコピックアプローチのための分散システムモデルについて検討した.ここでは,メゾスコピックレベルの対象として仮想計算機を取り上げ,仮想計算機を想定した分散システムのモデル化を行った.
研究課題(2)については,(1)で提案した,仮想計算機に基づくメゾスコピックモデルの有用性を実証するために,このモデル上で分散アルゴリズムを設計し,その性能解析および実システムを用いた性能評価を行った.また,従来の分散システムモデルにおけるメゾスコピックレベル設計を可能にするために,メゾスコピックレベルの対象としてモバイルエージェントを取り上げ,モバイルエージェントを利用した分散システムについて検討した.特に,メゾスコピックアプローチに有用と考えられる,基本的な問題を整理し,その問題に対する分散アルゴリズムを提案した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は本研究の初年度であり,年度当初の予定通り,研究課題(1)および(2)に取り組み,いくつかの成果を得た.
研究課題(1)については,分散システムの空間・時間的サブシステムのモデル化に取り組み,いくつかの成果を得ている.特に,空間・時間的に変動しうるサブシステムも対象としており,新たな研究領域として展開することを期待している.また,メゾスコピックレベルの対象として仮想計算機を取り上げ,仮想計算機に基づくモデル化も試みている.仮想計算機は実際によく利用されている技術であり,仮想計算機の概念を拡張してメゾスコピックレベルの対象とすることができれば,本研究で確立を目指す,メゾスコピック設計法が,実際の分散システム開発に与える影響も大きなものになると期待している.
研究課題(2)については,いくつかの事例研究を行い,本研究で確立を目指す,メゾスコピック設計解析法の有用性を確認できつつある.例えば,仮想計算機に基づくモデルに対しては,Hadoopを想定した分散アルゴリズムを設計し,その性能解析および実システムを用いた性能評価を行い,分散アルゴリズムのメゾスコピック設計解析法の有用性を確認できている.さらに,空間的,時間的に変動しうるサブシステムを有する分散システムに対しては,高度な自律適応性が要求されるが,その実現法として,モバイルエージェントを活用することが効果的であると考えている.そこで,分散システムのモバイルエージェントを利用したメゾスコピック設計において,多くのアプリケーションに活用可能と考えられる基本的な問題を整理し,その問題に対する分散アルゴリズムを提案している.

今後の研究の推進方策

これまでの研究は,おおむね順調に進展しており,今後についても,当初の計画通り,以下の研究課題に取り組む.(1) メゾスコピックアプローチのための超大規模分散システムモデルの検討.(2) 事例研究による,メゾスコピックアプローチの有効性の実証.(3) メゾスコピックアプローチに基づく設計・解析法の方法論の検討.
研究課題(1)については,引き続き,分散システムの空間・時間的サブシステムに着目し,分散システムのメゾスコピックアプローチに適したモデルの構築に取り組む.特に,空間・時間的に変動しうるサブシステムを扱えるモデル化を推進する.
研究課題(2)についても,引き続き,本研究で確立を目指すメゾスコピック設計解析法の有用性を実証するために,事例研究を行う.ここでは,これまで扱ってきた静的問題に加えて,動的問題を対象とした事例研究にも取り組んでいく.これらの事例研究で得られた知見を用いて,研究課題(1)のモデル化の精錬にも取り組む.
研究課題(3)については,メゾスコピックアプローチの事例研究で得た知見をベースに,超大規模分散システムのためのメゾスコピック設計・解析の方法論の構築を目指す.この方法論を構築できれば,メゾスコピックアプローチを超大規模分散システム設計法の新たなパラダイムとして確立することへの道が拓け,新たな研究領域の開拓に通じるものと期待している.この研究課題には,平成26年度に本格的に取り組む予定である.

次年度の研究費の使用計画

事例研究のために購入を予定していたパソコン,ならびに,成果発表のための論文別刷および旅費が未使用となっている.
パソコンが未購入となっているのは,仮想計算機を想定したHadoopを用いた事例研究の重要性に気づき,この事例研究に優先的に取り組んだためである.このHadoopを用いた事例研究は,既存のHadoop環境を利用して実施した.購入予定のパソコンは,従来の分散システムモデルを対象とした事例研究での利用を予定していたものでり,次年度以降に購入する.
論文別刷および旅費については,平成24年度内の発表では使用できなかったが,次年度以降に関しては,既にいくつかの発表予定があり,翌年度以降に請求する研究費と合わせて,次年度以降に使用する予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Linear time and space gathering of anonymous mobile agents in asynchronous trees2013

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Baba
    • 雑誌名

      Theoretical Computer Science

      巻: 478 ページ: 118-126

    • DOI

      10.1016/j.tcs.2013.01.022

    • 査読あり
  • [学会発表] Algorithms for partial gathering of mobile agents in asynchronous rings2012

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Shibata
    • 学会等名
      the 16th International Conference on Principles of Distributed Systems
    • 発表場所
      Rome, Italy
    • 年月日
      20121218-20121220
  • [学会発表] マルチコアCPU 環境における仮想計算機を用いたHadoop システムの評価2012

    • 著者名/発表者名
      石井朝葉
    • 学会等名
      情報処理学会ハイパフォーマンスコンピューティング研究会
    • 発表場所
      沖縄県那覇市
    • 年月日
      20121003-20121004

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公開日: 2014-07-24  

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