研究課題/領域番号 |
24650022
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
温 暁青 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (20250897)
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研究分担者 |
宮瀬 紘平 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (30452824)
梶原 誠司 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (80252592)
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キーワード | LSIテスト / 低電力テスト / テスト電力調整 / 遅延テスト / 微小遅延故障 / 活性化パス / 高信頼化 / 高品質化 |
研究概要 |
平成25年度には、テスト入力に対するクロックスキューの定量化技術の確立を主要目標に研究活動を展開した。まず、与えられたテスト入力ベクトルに対してLaunch-On-Capture(LOC)方式で実速度スキャンテストが行われる前提で、Launch操作が引き起こす論理スイッチングによって内部クロックスキューの発生量を論理シミュレーションで得られる内容状態遷移情報で定量化する技術を提案した。ここでの論理スイッチングは、クロックパスの長さとクロックパス近傍(クロックパス上のクロックバッファの実効供給電圧に強く影響する論理素子の集まり)の大きさを考慮した論理スイッチングの相対的強度で表現した。次に、それに基づいて内部クロックスキューの定量化技術を提案した。更に、ITC’99ベンチマーク回路及び以前に試作した大規模実回路(Dpro)を用いて様々な条件(入力、電源電圧、機能動作周期など)で定量化技術の精度を検証した。この検証においては、クロックパスの遅延を少なく見積もる楽天的判定(Optimistic Judgment)とクロックパスの遅延を多く見積もる悲観的判定(Pessimistic Judgment)の割合で表現される定量化精度について分析した。その結果、定量化精度は定量式で使用されるパラメータに大きく依存することが分かった。そのため、複数の実験回路において、様々なパラメータ(特にクロックパス近傍の半径、及び、クロックパスの長さの尺度(ゲート数またはパス遅延値))について大量の実験を行い、パラメータの決め方に関する指針につながる情報を抽出した。更に、提案した内部クロックスキュー定量化技術を実速度スキャンテストのシフトモードに拡張することによって、スキャンチェーン上の隣接スキャンFF間のクロックスキューの差を調べる手法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに研究開発を進めることができ、当初の研究目標を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年の実施で得られた成果を踏まえ、平成26年度は「クロックスキュー削減用のテスト入力生成技術(C1)とテスト設計技術(C2)の確立」を主な目標として研究を進める。 ◆ 研究方法: 前年度開発の定量化技術でテスト入力に対する内部クロックスキューが大き過ぎると判明された場合、関係クロックパス周辺の論理スイッチング量を調整することによって内部クロックスキューを削減する必要がある。これを達成するために、故障検出率、テストデータ量、回路面積が大きく増えない前提で、テスト入力データの一部(故障検出に寄与しない論理値)を変更するテスト入力生成技術、及び、回路や電源ネットワークの設計を変更するテスト設計技術を提案する。 ◆ 研究計画: (C1) まず、内部クロックスキュー削減のためのテスト入力生成技術を提案する。次に、平成 24 年度の試作回路を用いて、提案技術の検証(故障検出率、テストデータ量)と改良を行う。(C2) まず、内部クロックスキュー削減のためのテスト設計技術を提案する。次に、平成 24 年度の試作回路を用いて、提案技術の検証(回路面積、性能影響)と改良を行う。
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