研究課題/領域番号 |
24650024
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木村 成伴 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20272180)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 省電力化 / スリープモード / ルーティングアルゴリズム / アドホックネットワーク |
研究概要 |
センサネットワークでは,構成するノードの寿命を延ばすため,これらのノードの消費電力を少なく抑える必要がある.これを達成するため,本研究では,各ノードがスリープモードになるまでの予定時間を広告し,これらの情報を元に経路を選択するルーティングプロトコルを開発することを目的としている. 初年度は,オンデマンド型ルーティングアルゴリズムである AODV (Ad hoc On-Demand Distance Vector) を元に,スリープモードを考慮したセンサネットワークのルーティングプロトコルの提案を行った.この方式では,各ノードにアクティブモード (通信可能な状態) とスリープモード (通信装置の電源を切った状態.消費電力が抑えられるが,通信ができない) からなるサイクルを持たせて,残存電力の少ないノードは長時間スリープモードに,余裕のあるノードは長時間アクティブモードになることで,ネットワーク全体のエネルギバランスを保っている. 提案方式のプロトコルを用いて,送信元から目的地までの経路を探索すると,その時点でアクティブモードにいる全てのノードに経路探索メッセージがブロードキャストされ,最短経路にあるノードに沿って,経路応答メッセージがユニキャストされる.しかし,応答が返ってくるまで遅延が発生するため,通信経路上にいるアクティブモードのノードが,通信中にスリープモードに入らないという保証はない.このため,経路応答メッセージにスリープモードに入るまでの時間を伝え,通信中にスリープモードになりそうなノードは,経路選択の対象から除外する.これにより, AODV プロトコルを用いた場合よりも消費電力が削減され,ネットワークの寿命を延ばすことができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在の提案方式には,(1)近隣にデータを中継するノードがないときであっても,ノードがスリープできる,(2)自分の電力情報のみを用いるため,隣接ノードの状況に応じて,スリープする時間を柔軟に決定することができない,という問題があり,それらについての改善が必要である. また,提案方式のシミュレーション実験の実装が遅れており,評価を急ぐ必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
【現在までの達成度】の項で述べた,提案方式の問題点を改良した方式を提案する. シミュレーション実験の実装を完成させ,提案方式と他方式の比較を行う. プロアクティブ型ルーティングアルゴリズムである OLSR (Optimized Link State Routing) など, AODV 以外のルーティングアルゴリズムで,スリープモードを活用する方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
シミュレーション実験のために,大学院生を雇用する予定である.
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