近年のLED通信の技術革新により、信号機や車のヘッドライトなどのLED照明にLED通信機能を付与することで、車車間あるいは路車間で数Mbps程度の光通信が行えるようになってきている。LED通信は見通し通信が可能であれば無線通信のようなパケット衝突を起こさずに複数の車両間との並行同時通信が行える。本研究では、まずLED通信の特性を分析・整理し、得られた結果に基づき、(i)衝突事故防止、(ii)行き先経路情報取得、(iii) 周辺走行車両群の走行位置のリアルタイム予測の3つの情報伝達を念頭に、走行車両群のリアルタイムな位置情報を高精度に推定するための車車間通信プロトコルの開発を行った。提案手法では、一定数の車両がGPS受信機とヘッドライト・テールライトからのLED通信機能(数メガbps程度の通信機能と数センチの誤差の測距機能)を有していること、ならびに、ランドマークとして自身の座標情報をLED通信で送信可能な信号機の存在を仮定し、LED通信機能を持つ車両が信号機から受信した座標情報に加え、自身の測距機能を用いてLED通信機能を持たない車両群の位置推定を行う。また、直接もしくは間接的に車両の位置推定が行えない疎な環境の場合は、GPSを利用して自身の位置を推定する。考案方式では、LED通信機能付信号機や車両の割合が少ない場合でも、LED通信機能を保持する周辺車両や対向車線の走行車両が非保持車両の位置や状況を推定してLED通信機能付車両間で効率よく情報交換できる仕組みを構築し、現実的な車両の速度変化などの走行状況を再現できるようにしている。本年度は、走行車両群のリアルタイム位置推定プロトコルを改良し、その効率や精度を評価した。また、様々な道路長や車線数、車両密度の大小、LED通信機能付信号や車両の割合に対する評価を行なった。これらの研究成果の一部は国際会議で発表予定である。
|