研究課題/領域番号 |
24650029
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
安本 慶一 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (40273396)
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研究分担者 |
玉井 森彦 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (90523077)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 屋内位置推定 / 照度センサ / 調光制御 |
研究概要 |
平成24 年度は,(i) 屋内空間における各地点での明るさを照明機器の種類・出力強度・設置位置と外部光・障害物の情報から推定する照度モデル,(ii) 測定した明るさに該当する屋内空間上の地点が複数ある場合に一部の照明機器を調光することで必要精度内に絞り込む方式の考案を行った. (i)に関して, まず,障害物や外部光の影響がない場合について考え,単一の照明機器(光源)を対象に,光源の種類(白熱灯,LEDなど),光源の出力(単位:Ansiルーメン),推定対象地点の光源からの距離および角度をパラメタとして,その地点の明るさ(単位:ルクス)を推定するモデル(照度推定モデル)を構築した. (ii)に関して,(i)で構築した照度推定モデルを用いて,位置の絞込みを行うアルゴリズムの設計を行った.本研究では,対象空間における照明機器の設置位置,仕様が既知であり,これらの照明機器の調光(出力強度の変更),現在の出力設定の読み込みが遠隔から可能であると想定する.その上で,照度推定モデルを用いて,調光パターンごとの照度分布マップを作成する方法,マップに照合することで位置を絞りこむ調光パターンの選択法を考案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[研究目的] 屋内においてユーザの位置を高精度に把握できれば,家電の省エネ制御や行動ナビゲーションなど様々なサービスに応用できる.これまで数多くの無線通信に基づいた屋内位置推定手法が研究・開発されてきたが,WiFi 等の受信信号強度を用いる手法は低コストであるが精度が低い,超音波等を用いる手法は高精度だがコストが高いという問題があった.本研究では,「屋内における明るさの違い」に着目した低コストかつ高精度な屋内位置推定システムの実現を目指した研究開発を行う.屋内において照明機器は対称な位置に設置されることが多く,その場合明るさの分布も対称となり位置を特定できない.この問題を解決するため,照明機器の出力を遠隔調光により動的に変更し,推定位置近辺の明るさに変化を発生させることで高精度な位置推定を実現する. [達成度] 平成24 年度は,計画通りに,(i) 屋内空間における各地点での明るさを照明機器の種類・出力強度・設置位置と外部光・障害物の情報から推定する照度モデル,(ii) 測定した明るさに該当する屋内空間上の地点が複数ある場合に一部の照明機器を調光することで必要精度内に絞り込む方式の考案を行った.また,予備実験を行い,明るさの違いがある程度存在する場合に,上記(i),(ii)の方式を用いて,位置の絞り込みが可能であることを確認した.今後,考案した方式を実装し,テストベッドに適用することで,提案方式の有効性が示せると考えている. 以上の理由により,本研究は順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
25 年度は,計画通り,(iii) 照明機器の遠隔調光制御システムの開発,(iv)テストベッドの構築と性能評価実験を実施する. (iii)に関しては,照明機器の調光を遠隔から行えるようにするため,サーバからの指示を空間に設置されたGW(PC を使用)に送り,GW からSunSPOT を経由して調光リモコンを制御するようなシステムを構築する.申請者らが従来から開発しているコンテキストアウェアデバイス制御ミドルウェアCADEL を用いて,調光リモコン制御用ソフトをUPnP デバイスとして実装することで,条件が成立する時に照明の調光を指定したパターンに変更する.また,ユーザの照度センサはAndroid 端末に接続しUPnP デバイスとして実装することで,CADEL から容易に値を取得できるようにする. (iv)に関しては,照明装置を多数設置したテストベッドを構築し,提案システムによる位置推定精度,推定までの時間,同時に位置推定可能なユーザ数,ユーザの移動に伴う追従性(遅延時間),自動調光によるユーザの快適度への影響などを評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は,位置推定方式の理論的な枠組みの開発に注力することにし,当初予定していたテストベッドの一部構築,プログラムの先行開発等をH25年度に行うこととした.また,これに伴い,アルバイト謝金や研究発表のための旅費をH25年度に執行するとした.以上より,繰越額が生じている. H25年度は,H24年度に開発した理論的な枠組みを実環境に実装し評価することを予定しており,繰越額も含めた研究費を,テストベッドの構築費用,システム開発用PCの購入,研究成果発表用旅費,実験環境構築補助にかかる謝金等に使用することを見込んでいる.
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