研究課題
「高齢者が生きがいを持ち,自立し安心して生活できる社会」の実現に向けて,加齢に関する包括的情報基盤「マルチモーダル加齢行動コーパス」を構築した.以下の4つの成果が得られた.1)専門家と高齢者本人の主観的コメントを結集しながらコーパスを深化させる枠組みを開発した.排泄ケアの専門家田中とも江氏,精神科医師の上野秀樹氏,玉井顯氏との連携関係を構築し,継続的なカンファレンスを実施して,知識構造を発展させる仕組みを構築した.また,住空間の空調サービスに焦点を当て,高齢者の体感情報(主観的な情報)に基づく空調制御技術を開発し,高齢者の体感と周辺環境の関係にギャップがあり,主観情報に着目することで,きめ細やかなサービスにつながることを示した.2)高齢者尊重の行動センシング環境と心身の退化状況理解技術を開発した.玉井が運営する医療機関との連携により,生活状況を取得するためのスレート型多職種連携ツールを開発し,高齢者の生活状況を理解し,診療に活用できる見通しが得られた.また,家庭における映像収録環境を構築し,本人のプライバシを家族がコントロールすることによって,継続的に映像を収録できることを示した.3)子どもの「発達」モデルをベースにした高齢者の「退化」モデルを基本デザインした.Minskyの感情モデルを活用することによって,特に認知症の人の行動が表現できることを示し,認知症,高齢者に関する知を深化できることが示唆された.4)実用的な高齢者支援コンテンツの提供とコーパスの内容をコンテンツ化する仕組みを開発した.認知症アシストフォーラム(http://ninchisho-assist.jp/)を構築し,ケア現場の介護者や家族,本人に情報提供するサービスを開発・運用している.専門家の解説映像を意味ネットワークとして表現した知識コンテンツ設計システムを開発し,コンテンツの有効性を示した.
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 3件) 備考 (2件)
電子情報通信学会誌
巻: Vol.96,No.10 ページ: pp811-814
https://ninchisho-assist.jp/
http://ultimavi.arc.net.my/ave/CREP/