研究課題/領域番号 |
24650038
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原 隆浩 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20294043)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | モバイルシステム / 位置プライバシー / 位置情報サービス |
研究概要 |
本研究では、近年、盛んに開発されている位置情報サービスにおいて、ユーザの位置プライバシーを保護するための手法の確立を目的とする。具体的には、ユーザの正確な位置や移動履歴をサービス提供者に知られることなく位置情報サービスを享受するために、複数のダミーの位置情報をサービス提供者に送信する手法を構築する。 初年度の24年度は、ユーザがレストランやショップなどで停止する一般的な環境を想定し、効果的な位置プライバシー保護手法について以下のように研究を推進した。ユーザが停止、移動を繰り返す環境では、ユーザが停止した際にダミーも単純に停止させてしまうと、路上などの停止する必要がない場所に停止してしまい、ダミーとユーザを識別できてしまう。そのため、ユーザの移動経路やサービス利用のタイミングが未知の状況では、ユーザのように自然に移動するダミーの移動経路を適切に決定することが困難となる。そこで、まずは問題設定を簡単化し、ユーザの移動経路が既知もしくは高い確率で予測できる環境を想定し、効果的なダミーの移動経路決定手法を考案した。さらに、詳細なシミュレーション実験により、考案手法の有効性を確認した。 さらに、ユーザが車などで高速に移動する環境を想定し、ダミーの自然な移動経路を決定する手法について検討し、準備的な手法を考案した。具体的には、車などの移動では、歩行移動と異なり、交通ルール(制限速度、一方通行など)の制約が強く、基本的に最短路で移動するといった移動特性に大きな特徴がある。そこで、実際の車両トレースデータを用いて、ダミー経路を生成する手法について検討した。 これらの研究成果は、地理情報システム分野で世界最高峰の国際会議GIS 2012を含み、4件の学会発表(発表予定1件を含む)により公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画と比較すると、停止を伴うユーザの移動を考慮したダミー生成手法において、シミュレーション実験にとどまり、視認性実験を行うには至らなかった。一方で、平成25年度に予定していた、高速移動を考慮したダミー生成については、前倒しで準備的な手法を考案でき、予定よりも進展がみられた。そのため、全体としては概ね順調に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度である平成25年度は、まず、平成24年度に実施できなかった考案手法の視認性実験を実施する。そして、平成24年度のシミュレーション実験と視認性実験の結果に基づき、明らかになった問題点の分析と、その解決法の検討および考案技法の拡張を行う。 さらに、停止を伴うユーザの移動が高い確率では予測できない環境を想定し、ユーザの移動が確率的に与えられる場合のダミー位置生成手法を考案する。例えば、ユーザの今後の移動経路がいくつかの複数のパターンの中から選ばれる可能性が高い場合は、それらをすべて考慮し、実際にどのパターンが起きても問題が無いように、ダミーの位置を決定することなどが考えられる。 ユーザが高速で移動する場合についても、平成24年度に考案した準備的な手法を、より実用的な手法へと拡張する。具体的には、実際の車両トレースデータを適切に選択・加工することにより、ユーザの移動経路と交差しつつ、ダミーが適度に広い範囲に分散することで、ユーザの位置を特定させないような手法を考案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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