研究概要 |
最終年度は,前年度の成果である,(1) 情報システムの視覚的な記述を可能とするオブジェクト指向ペトリネットの拡張であるOPeN言語とその関連ツールの開発,(2) コミュニケーション理論であるLAP(Language/Action Perspective)をオブジェクト指向ペトリネットへ適用することによるインタラクション記述の試み(着手段階),(3) アスペクト指向技術によるワークフローの変換技術を踏まえ,(a) 情報システムの振る舞いについて理解するための説明シナリオ生成と,(b) 参加者が情報システムの状態を操作しながら理解を深めるためのゲーミングシミュレーションの枠組の構築を試みた. 本研究計画では,情報システムの構築においては,オブジェクト指向ペトリネットをビジネスモデル記述に採用し,それを基づいたモデルベース開発の考え方に沿って開発することを前提としている.そのために,初年度は,(以前から開発してきたツールをベースに)実際のプログラミング言語と連動して計算やGUIを与えることのできるオブジェクト指向ペトリネット言語OPeNを設計・構築した.さらに,二年目は,プロセス表現にルール表現を統合し,情報システム構築基盤としての現実性を向上させた.これを用いることで,情報システムの実行トレースをトランジションの発火系列として捉え,それに基づいた説明シナリオの生成が可能となった.この発想の派生的成果として,「文脈に基づくアスセス制御(CxAC: Context-Aware Access Control)」の着想も得ることができた.残された課題は,利用者に違和感を与え情報ステムのトラブルの予兆となるような発火系列を如何に見つけるかである.本研究の成果としてのOPeNのシミュレーション実行(ゲーム)は,(GUIなど実用性は未だ不十分とはいえ)そのための基盤となりうることがわかった.
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