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2012 年度 実施状況報告書

カメラによる写りこみを防止するプライバシーバイザーの研究

研究課題

研究課題/領域番号 24650044
研究機関国立情報学研究所

研究代表者

越前 功  国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (30462188)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードプライバシー保護
研究概要

平成24年度は,[目的1]人間とデバイスの分光感度特性の違いを利用したプライバシー保護手法の原理確立の検討を行った.具体的には下記の2つの課題に取り組んだ.
[課題1-1]人間とデバイスの感度特性の分析による最適なノイズ光源の検討:ノイズ光源に用いる近赤外線LEDの分光感度特性はスペクトルに幅を持つため,ピーク波長が可視域に近すぎると人間の目に赤色として知覚される.逆にピーク波長が可視域から離れすぎるとカメラ撮影時のノイズ効果が弱まる.さらに,LEDの放射角が狭い場合には,放射角度内での妨害は強くなるが,斜めからの人物撮影に対して妨害効果が弱くなる.逆に放射角が広い場合には,斜めからの撮影に対して妨害効果は高くなるが,放射角度内での妨害効果は弱くなる.そこでLEDの基本種別(砲弾型or反射型)・ピーク波長・スペクトル幅,人間の視覚・撮像デバイス(CCD,CMOSなど)の感度特性のデータから人間の目による知覚度合いと任意の撮影角度・距離における撮像デバイスのノイズ効果の度合いをシミュレートするツールを開発し,当該ツールに基づいて,最適な近赤外線LEDを選定した.
[課題1-2]ノイズ光源の配置によるプライバシー保護効果の向上の検討:[課題1-1]で選定したノイズ光源(近赤外線LED)の顔面上の配置によるノイズ効果の向上や顔認識のエラー率の向上を検討した.顔認識時に必要な特徴量である,顔を構成する目,鼻,口の相対位置や大きさ,目や鼻やほお骨やあごの形を変化させるように光源を配置し,主観評価実験(ITU-R 二重刺激法)により撮影した顔の妨害効果を検証するとともに,顔認識処理によるエラー率を測定した.当該検証においてノイズ効果の向上が認められない場合を想定して,個々の光源が独立にランダム点滅するケースついても主観評価実験によりノイズ効果の向上が認められるか検証した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,撮影による人物のプライバシーを保護するために,既存のデジタルカメラに新たな機能を追加することなく,人間の視覚とデジタルカメラの撮像デバイスの感度特性の違いを利用することで,人の視覚には影響を与えずに,撮影時のみ人物の同定を不能にする方式を確立する.平成24年度は,[目的1]人間とデバイスの分光感度特性の違いを利用したプライバシー保護手法の原理確立の検討を行ったが,申請書に記載した平成24年度の課題([課題1-1]人間とデバイスの感度特性の分析による最適なノイズ光源の検討および,[課題1-2]ノイズ光源の配置によるプライバシー保護効果の向上の検討を予定通り実施し,所望の成果をあげている.

今後の研究の推進方策

平成25年度は,[目的2]自然な人対人コミュニケーションを実現するプライバシーバイザーの実現の検討を中心とする.具体的には[課題2-1]プライバシーバイザーの基本実装および[課題2-2]自然なコミュニケーションとプライバシー保護を両立するプライバシーバイザーの実現に取り組む.[課題2-1]では,平成24年度で検討した手法をウェアラブルデバイス(プライバシーバイザー)として実装する.プライバシーバイザー着用による視覚的な違和感を低減するために,ノイズによる顔面の妨害効果を維持しながら,ノイズ光源により顔面が隠れる割合をできるだけ削減する必要がある.そこで,眼鏡やゴーグルなど人間が通常時に着用する物に対して,近赤外光源と当該光源を外部に拡散させる導光板を組み込むことで,プライバシーバイザーの基本実装を行う.[課題2-2]では,室内および室外などの多様な物理環境において,プライバシーバイザーを着用した際に人対人のコミュニケーションに及ぼす影響度合を主観評価により実施する.同時に,複数種類のデジタルカメラにより複数の方向・距離からプライバシーバイザーを着用した人物の撮影を行い,撮影画像の妨害度合および画像検索時のエラー率を評価する.当該評価結果に基づいて,プライバシーバイザーの発光領域や位置を変更し,自然なコミュニケーションを維持しながら,個人の同定を効果的に防ぐプライバシーバイザーを開発する.

次年度の研究費の使用計画

[課題2-1]プライバシーバイザーの基本実装の遂行にあたって,ハードウェア開発要員を毎週2時間程度,派遣にて雇用する.さらに5種類の異なる性質を持つ導光板,[課題1-1]で選定した近赤外線LED, 試作したプライバシーバイザーの性能評価用に分光器(高分解能タイプ)を購入する.
[課題2-2]自然なコミュニケーションとプライバシー保護を両立するプライバシーバイザーの実現にあたって,デスクトップパソコンを購入し,ハードウェア開発要員を毎週2時間程度,派遣にて雇用する.また,開発したプライバシーバイザーの性能を主観評価により評価するために主観評価要員として,15名×3時間×3回程度を謝金にて雇用する.以上の課題の遂行にあたって,研究成果(プライバシーバイザーのデモ展示を含む)を国内の関連学会で2回程度発表・展示を行う.一方,動向調査と成果発表を兼ねて,海外の学会に2回出席し,研究成果の発表・展示を行う.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Privacy visor: wearable device for preventing privacy invasion through face recognition from camera images2013

    • 著者名/発表者名
      T. Yamada, S. Gohshi, and I. Echizen
    • 学会等名
      2013 International Workshop on Advanced Image Technology 2013 (IWAIT2013)
    • 発表場所
      Nagoya
    • 年月日
      20130107-20130108
    • 招待講演
  • [学会発表] Use of invisible noise signals to prevent privacy invasion through face recognition from camera images2012

    • 著者名/発表者名
      T. Yamada, S. Gohshi, and I. Echizen
    • 学会等名
      ACM Multimedia 2012 (ACM MM 2012)
    • 発表場所
      Nara
    • 年月日
      20121029-20121102

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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