研究課題/領域番号 |
24650045
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
松岡 大祐 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, 研究員 (80543230)
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研究分担者 |
荒木 文明 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, グループリーダー (90359224)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 多次元伝達関数 / 多変量解析 / 多変量可視化 / 海洋大循環 |
研究概要 |
当該年度は、海洋表層における風成循環(海流)および海洋中深層における熱塩循環の効果的な可視化手法の開発を行った。 前者においては、まず、既存のクラスタ分析(k-means法、密度型手法)および本研究課題で新たに開発した非階層・階層的ハイブリッド手法を用い、日本周辺の海流(黒潮および親潮)の抽出を行った。提案した非階層・階層的ハイブリッド手法は、計算コストの低い非階層的手法と、精度の高い階層的手法の両者の特徴を併せ持った手法である。ここで、1次元的な海流の”正解”を手動で定義することで、2次元的な抽出結果の妥当性の評価手法を開発した。準備段階においては単純な2次元伝達関数(カラーマップ)を用いて海流を強調した可視化を行ったが、本課題において、海流の抽出結果を用いた伝達関数の最適化を行った。伝達関数の最適化によって、複数の異なる海流が混在する場合においても、それぞれの海流を同様に強調して表現することができた。これによって、大規模かつ高解像度の海洋大循環モデルにおいて再現された海洋表層の流れ場および温度分布から、より直観的に理解することが可能な可視化表現を行うことが可能となった。 次に後者においては、クラスタ分析を応用することで、北大西洋において沈み込む低温かつ講塩分の水塊が連続して分布する領域の抽出を試みた。具体的には、密度型クラスタ分析を用い、初期シードとして選んだ北大西洋における水塊の沈み込み領域から、温度および塩分が連続しており、かつ、物理的な位置が連続した領域を全空間において抽出した。また、抽出結果に対してボリュームレンダリングやスキャッタープロットを用いた可視化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度における研究実施計画は9割以上達成でき、平成25年度における計画であるハイブリッド手法の開発(一部)やクラスタ分析結果の評価手法についても、今年度中に終えることができた。 また、ここまでの成果は1本の査読付き学術論文として出版が決定されているため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は比較的狭い領域のデータを対象として海流の抽出および可視化を行ったが、平成25年度においては全球データを対象とした、新しいクラスタ分析手法の開発および可視化手法の研究を行う。 また、熱塩循環の抽出・可視化については、抽出結果の妥当性の検証および観測結果との比較を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
成果発表および開発手法の周知のための旅費、研究遂行に必要な計算機・書籍等、成果発表の論文出版に用いる予定である。それぞれの配分は、当該年度とほぼ同等の割合を計画している。
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