本研究の目的は、気管挿管における喉頭展開のように、道具を利用する際に強い力を必要とする技能の訓練を支援する外装型触力覚提示装置(OCHD: Outer-Covering Haptic Display)を開発することである。平成24年度は開発したOCHDが、気管挿管における喉頭鏡の動作を学習するために効果があるかどうかを検証する実験をおこなった。喉頭鏡を直接駆動する方式と、視覚的なインタフェースによって動作を提示する方式をOCHD方式と比較した結果、OCHDが最も学習効果が高いことが示された。 平成25年度はウェアラブル型のOCHDを試作し、皮膚へのせん断力の与え方が、手の運動距離に与える影響を明らかにするための実験をおこなった。その結果、手の甲の皮膚にステップ上の剪断力を提示した場合、提示する最大せん断力を強くすれば、より長い時間学習者の手を運動させられることがわかった。しかし、2秒以上のせん断力提示が運動距離に与える効果は小さかった。一方、時間に比例して強くなる剪断力を手の甲の皮膚に与えた場合は、ステップ上の提示よりも長い時間運動を継続させられることがわかった。
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