研究課題
言い直しや言い淀みなど、自然な発話における非流暢性は、その要因を話し手の内部の生成メカニズムに一方的に帰属させ、説明することが多い。一種のアクションスリップとして言い誤りが生じ、それを修復する行為として言い直しが生じるという説明である。本研究では、発話は話し手と聞き手との相互行為的な調整の結果として組織されたものと捉え直し、これらの観点から、(a)聞き手の存在を予定しつつ、その聞き手との相互行為的調整に基づいて発話の組織化を行う、発話生成システムを実現すること、(b)この発話生成システムを用い、発話における非流暢性を生み出す要因やその役割を構成的に明らかにすることを目的としている。本研究計画では、まず聞き手との相互行為的な調整に基づいて発話の組織化を行う発話生成システムの詳細を設計し、そのプロトタイプ(Talking-Ally)を構築して基本動作を確認した。ハードウェアとしては、ロボットの視線の動きを生成するためのモジュールの開発を行った。また、発話生成システムからの発話と聞き手の視線回復等の関係を分析し、本提案手法の有効性を確認した。さらに広範な被験者実験を行い、発話における聞き手との相互行為調整の効果を志向姿勢の誘発や説得性の観点から検証した。これらの成果は、社会的ロボティクスに関するジャーナル(IJSR)、ヒューマンインタフェース学会論文誌に採録された。また、社会的ロボティクスに関する国際会議(ICSR2012)およびヒューマンコンピュータインタラクションに関する国際会議(HCII2013)で口頭発表するとともに、ヒューマン=ロボットインタラクションに関する国際会議(HRI’13)などで本システムのビデオ発表、デモ発表を行った。これらの成果を一般に発信するために『弱いロボット』(医学書院)、『ロボットの悲しみ』(新曜社)などの専門書籍の刊行を行った。
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International Journal of Social Robotics
巻: Vol.7 ページ: 51,62
10.1007/s12369-014-0273-8
ヒューマンインタフェース学会論文誌
巻: Vol.17, No.2 ページ: 159, 170
http://www.icd.cs.tut.ac.jp/project.html