BDD(Binary Decision Diagram; 二分決定グラフ)は、論理関数や組合せ集合を圧縮して索引化するデータ構造であり、実用的な場面で1000 倍以上の圧縮率が得られることがあるため、近年、様々な用途に広く応用されている。しかしBDD ではポインタやハッシュ表のために数十倍の定数ファクタの記憶量を使用するため、BDD の圧縮率があまり高くならない例題に対しては、単純なビット列表現に比べて効率が大幅に悪化することがある。本研究計画では、ポインタやハッシュ表を極力使用せずに極限的に簡潔なBDD データ構造を研究し、最悪のケースでも単純ビット列とほぼ同等の記憶効率が得られるような、真に有効な圧縮データ構造を目指す。さらに、その ような簡潔なBDD データ構造を有効に活用する演算処理アーキテクチャを明らかにする。 今年度は、これまでに取り組んできた極限的に簡潔なBDD構造を生成するアルゴリズムの応用範囲を広げるための研究開発を進めた。主な成果としては、与えられた非巡回有向グラフに含まれる全ての半順序集合を圧縮列挙索引化する手法、および与えられたグラフのオイラー路を全列挙索引化する手法などが挙げられる。本研究成果は、国際会議ISSAC2014およびWALCOM2015に論文投稿し、高い競争倍率を勝ち抜いて採録された。さらに国内外の著名研究者と活発に意見交換し、今後の研究の発展性について知見を得ることができた。
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