研究課題/領域番号 |
24650068
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福井 健一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (80418772)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | クラスタリング / 頻出パターン / 共起 / 相互作用 / 燃料電池 / 地震 |
研究概要 |
本研究は,数値で観測される事象系列から頻出して共起するクラスタのペアを抽出するアルゴリズムの確立,ならびに環境貢献の問題を中心とした複数の実問題への応用を行うものである. 本年度までに,従来のデータ空間上のクラスタリングに系列の頻出パターン抽出の考えを導入した共起クラスタマイニングアルゴリズムの基本部分を考案した.提案法は,探索空間の削減のため,階層型クラスタリングにより取得したクラスタリング過程上で,系列上で共起するクラスタのペアを探索し候補パターンを列挙する.そして,包含関係にあるパターンを除去することで,共起パターンを抽出する. 人工データを用いて定量評価を行った結果,提案法は従来のクラスタリングを行った後に頻出パターン抽出を適用する2段階法と比較して,精度良く共起するクラスタのペアが抽出可能なことを確認した.そして,2種類の実データに適用した.ひとつめの燃料電池の損傷データから部材間の力学関係の推定では,燃料電池専門家の評価において妥当な結果と,未知であるが検討の価値がある結果が得られた.ふたつめは震源リストデータへの初期的な適用も行い,地域間で連動する地震の相互作用の推定を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに,共起クラスタマイニングアルゴリズムの基本部分を考案し,人工データを用いて基本性能を確認した.そして,燃料電池の損傷観測(Acoustic Emission)データに適用し,燃料電池の構成部材間の力学相互作用の推定に応用した.その成果は人工知能学会論文誌に採録され,そして2012年6月にはデータマイニング分野の主要国際会議のひとつであるPKADDにて発表した.また,2012年6月に発表した人工知能学会全国大会では全国大会優秀賞(口頭発表部門)に選ばれた.そして本年度の後半からは,提案法の震源リストデータへの適用を開始した.2012年11月に人工知能学会研究会にて発表した研究会論文は,研究会優秀賞に選ばれた.以上のように,研究計画は概ね順調に進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
これまで応用課題の中で共起クラスタマイニングを提案と適用する形で論文をまとめてきた.来年度は,まず共起クラスタマイニングを主題として,研究成果をジャーナル論文にまとめることで,提案法の学術的な波及効果を高める.そして,地震データへの適用に関して,1年間のみのデータであったため長期のデータを用いて結果の信頼性を高めると共に,地震学の専門家の協力の下,抽出結果の深い解析を行い妥当性の検討や,新たな知見に結び付くきっかけを見出す.地震データ分析に関しても,国際会議での発表およびジャーナル化を目指す.また,3つめの応用先として,医療データへの適用を検討していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
人工知能学会全国大会および地球惑星科学連合大会にて研究発表を行うための旅費および参加費を支出する.共起クラスタマイニング法に関して,前年度までの研究成果をジャーナル論文としてまとめて投稿する.採録された際には掲載料を支出する.さらに,国際ワークショップでの発表および動向調査のため旅費および参加費を支出する予定である.
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