研究課題/領域番号 |
24650070
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鈴木 英之進 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (10251638)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 人見守り / 代表例選択 / 普及型自律移動ロボット / データストリームマイニング |
研究概要 |
本課題では,バッテリー交換時や外出時などは除くが,数十日間などきわめて長期間にわたり対象者を室内で見守り,身体的・精神的な変化を推定する安価で小型な自律移動ロボットの製作に挑戦している.平成24年度は主に,概念ドリフトモデリング,対人基本機能,ロボットプラットフォームの3項目に並列して取り組んだ.その結果,数十分間にわたり対象者を室内で見守るロボット4台の製作,現有する他種ロボットによるデータストリームマイニングと対象者の状態推定,固定Kinectおよび製作したロボットによって観測された長時間データに関する代表例選択手法の開発に成功した. 新規に製作した各ロボットは,ノートパソコンとKinectデバイスを搭載し,現有する他種ロボットに比較して保守と開発が容易であり,見守り対象者に関する骨格情報などを高速かつ簡便に取得できる.このロボットの製作と並行して,現有する他種ロボット上で重要技術であるデータストリームマイニング手法と対象者の状態推定を完成し,実験によって有望な結果を得た.ただし後者の研究を進める過程において,対象者の長期間見守りの実現に適しているのは,分類学習としての状態推定ではなく,観察者の状態を代表する例の集合を新旧観測データと旧代表例集合から選択する新しい学習問題である代表例選択問題に取り組むことであることに気付いた.このため,固定Kinectおよび製作したロボットによって観測された長時間データに関する代表例選択手法を開発し,予備実験によりそれらの性能を確認した.この他,関連する基礎技術の開発にも取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
取り組む学習問題を状態推定から代表例選択に変更し,ロボット4台の製作に時間を要したため,統合技術:知的制御とパーソナライゼーションへの取り組みが不十分である.さらに,製作したロボットによる代表例選択について,より詳しく性能を確認する必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
研究目的を,バッテリー交換時や外出時などは除くが,数十日間などきわめて長期間にわたり対象者を室内で見守り,身体的・精神的な変化を推定するための代表例集合を出力する安価で小型な自律移動ロボットの製作に挑戦することに変更する.まずは製作したロボットによる代表例選択について,より詳しい性能を実験により確認する.その結果を踏まえ,知的制御(戦略選択,意思決定)とパーソナライゼーション(特徴抽出,メタ学習,転移学習)の内,研究目的に最も貢献する項目を厳選し,集中的に取り組む.ここで観察者に関するパーソナライゼーションは,代表例選択問題に取り組むことにより,観察者が入力する旧代表例集合への対応という形で自然に実現できると考えている.最後に長期間見守り実験を行い,研究目的の達成度を評価する. より注力すべき新規学習問題が見つかったため,当初予定していた2年目における新規ロボットの製作は中止する方向で検討する.むしろこれまでに制作したロボットを必要に応じて改良する方向が有望であると考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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