研究課題/領域番号 |
24650071
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
山田 誠二 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (50220380)
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研究分担者 |
小林 一樹 信州大学, 理工学研究科, 助教 (00434895)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 情報通知 / ペリフェラル |
研究概要 |
人間の認知特性を利用した情報通知方法である周辺認知テクノロジーPCT (Peripheral Cognition Technology)の枠組みを提案し,さらにPCTの実装型であるペリフェラルエージェントを実装,評価実験を行った.提案手法のPCTでは,人間が集中状態にあるときに周辺視野に注意が向けられにくい認知特性を利用して,ユーザの状態を推定することなく,ユーザ状態に合わせた情報通知を実現する.周辺認知領域に情報を提示することで,メインタスクに対するユーザの集中が低下したときにのみ,周辺へオートマチックに注意が向くことで情報をユーザのメインタスク遂行に干渉することなく情報通知を受理させることができる. 本年度は,具体的なPCTの実現型の一つとして,ペリフェラルエージェントを実装し,その評価実験を行った.ペリフェラルエージェントとは,周辺視領域でタスクの付加により認知度が変化する現象であるVFN (Visual Field Narrowing)の発生する領域に常に配置され,ユーザの負荷の多いときはユーザに気づかれずに,負荷が下がるとユーザが自動的に気づくという機能を実現する擬人化エージェントである.その情報通知の機能的機能は,情報通知が発生すると,周辺視領域に出現し,ユーザにマウスクリックされる通知情報をユーザに提示することである.まず,VFN領域を参加者実験によりモデル化し,それを用いて,ペリフェラルエージェントの実装を行い,再度参加者実験により,その有効性を検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度では,PCTの最初の実装型であるペリフェラルエージェントを設計,実装して,その評価実験を行うことを研究目標としていた.そして,平成24年度では,実際にそれらの目標を達成できたため,概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,研究計画通りに,変化盲ディスプレイの実装と評価実験を行う予定である. 変化盲ディスプレイは,ペリフェラルエージェントに次ぐ2つめのPCTの実装型である.PC のモニタ上でユーザが作業をしており,ディスプレイの周辺に分離して配置された変化盲ディスプレイに情報通知が表示される.ディスプレイは最初横になっている状態から,情報通知のタイミングでゆっくりと起き上り始める.そして,ユーザがマウスクリックで通知情報を受理すれば,また水平状態に戻る.VFN領域に変化盲ディプレイを設置すれば,VFN の効果により,ユーザが作業に集中しているときは変化盲ディプレイの動きに気づかず,そうでないときに気づかせることができる.また,このような専用デバイスを用いることで,メインディスプレイ内のユーザの作業領域に干渉しない利点がある. なお,この変化盲ディスプレイの有効性は自明ではないため,実際的な環境でユーザに利用してもらい,客観的なデータからその有効性を実験的に検証することも行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
変化盲ディスプレイは,オリジナルなデバイスであるため,該当科研費をその開発費として利用する.具体的には,設計コスト,静音のモーター,及び筐体の材料費である. さらに,有効性検証の参加者実験における参加者への謝礼,およびソフトウエア開発のためのPC及び開発コストとしても,該当科研費を使用する予定である.
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