本年度は,下記の3項目に関する研究開発を実施した.(i) 前年度に開発した照合アルゴリズムの高速化および大規模データベースを用いた性能評価実験を行った.高速化では,MATLABスクリプトのC言語化・GPGPU (General-Purpose computing on Graphics Processing Units) 対応により,MATLAB実装で1ペアあたり約4秒程度の処理時間を,0.1秒以下に高速化した.性能評価実験では,歯科医院で実際に診療に用いた数年分の口内法X線画像(1万枚以上)を使って,大規模災害を想定した実験を行い,照合アルゴリズムの身元確認における性能を総合的に評価した.(ii) 前年度に開発したボリュームデータの照合アルゴリズムを拡張し,ボリュームデータの非剛体変形に対応した.サブボクセル精度で得られた対応点に対して,非剛体変形モデルを導入することにより,モダリティの異なるデータ(たとえば、CTデータとMRIデータなど)でも高精度に位置合わせおよび照合することが可能となった.さらに、身元確認以外の応用として,各医院から提供される医用データの信頼性の検証に照合アルゴリズムが利用できることを検証した.また、(i)と同様にGPGPUを用いて照合アルゴリズムを高速化した.(iii) 前年度に検討した3次元画像データからの整合面探索アルゴリズムと,(i)で開発した2次元X線画像データ照合アルゴリズムを組み合わせることで,2次元-3次元異種画像データを自動的に照合するアルゴリズムを検討した.また、同一人物から撮影した頭頸部CTデータおよび口内法X線画像を用いて性能評価実験を行い,提案アルゴリズムの有効性を実証した.
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