1.骨伝導振動子のインプラント化に関する基礎的研究 H26年度は下顎の歯に装着したマウスピースに振動子を接着剤で固定して歯を加振することで測定値のばらつきを少なくし,歯を介した骨導音の最小可聴値を測定した。歯に直接振動子を押し当てて測定した場合と比較して,測定値のばらつきを軽減することができた。 2.体外に携帯する本体と口腔内に装着する補聴器を結ぶ無線技術の研究 体外に携帯する本体と口腔内に装着する補聴器との間の無線化を検討した。H24年度は腕に取り付けた電極と歯に取り付けた電極との間を人体通信で無線化したが,H25年度は腕に取り付けていた送信電極を乳様突起に取り付けることによって単語了解度が向上し,伝送損失が約3dB改善されることが分かった。H26年度は磁気誘導による無線化について検討し,超磁歪式の骨伝導振動子と組み合わせても実用上支障がないことを確認した。 3.語音聴力検査による骨導音と気導音の単語了解度の比較 H25年度は耳栓を用いて気導音を遮断した状態での骨導音の単語了解度を語音聴力検査によって気導音と比較した結果,気導ヘッドホンを用いた場合と比較して,耳栓をした状態で骨導ヘッドホンを用いた場合の方が,単語了解度が高くなることを確認した。そこでH26年度は,骨伝導振動子を貼り付けたマウスピースを用いて歯を加振し,耳栓装着の効果を調べた,その結果,両耳に耳栓を装着した場合のほうが,耳栓を装着しない場合よりも500~1500 [Hz]の間で10~15 [dB]程度最小可聴値が小さくなり,聞こえが良くなることを確認した。
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