研究課題/領域番号 |
24650092
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
渡辺 哲陽 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80363125)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 器用さ制御 / 提示情報 |
研究概要 |
ヴァーチャルリアリティ技術を用いて,視覚,音,力などの提示することで,人が制作などを行う際のパフォーマンス(器用さ)を制御し,最終的には望みのパフォーマンスを獲得できることを目指す.一年目は,目標情報提示システムの確立と,目標情報提示システムを用いてヒトのパフォーマンスを制御できる可能性について調査した.具体題材として,道具を用いた作業として最も基本となる作業の一つである描画をとりあげた. 人間は,運動学的には回転関節とリンクから構成されるため,曲線よりも直線の方が苦手である.実際,絵の教科書などで最初に行う練習が直線描画である.このことから,直線描画を題材とした.ペンタブレッド,PC,ディスプレイを活用することで,1)ディスプレイ上に視覚(サポート)情報を提示する,2)ペンタブレッドにて描かれた線をディスプレイ上に表示する,システムを構築した. 幼児に字を学ばせる際,点線が使用されることを考慮し,目標情報として点線を用いた.点の図形を丸,四角,三角の三種類,またそれぞれに点の間隔を変えた2種類の画像を用いることで,図形と点の間隔の差異がパフォーマンスに与える影響を調べた.パフォーマンスの評価として,目標となる直線からのずれ量を評価基準の値とした.この値が大きいほど,“不器用”と考えることが出来る.全データの平均評価値に応じて “器用”,“普通”,“不器用”と区分すると,各グループにおいて評価値が高くなる提示情報が異なることが分かった.また,全データの平均評価値と相関が高い提示情報を提示して,器用さ(“器用”,“普通”,“不器用”のどれか)を推測し,それに基づいて提示情報を上述の考察に基づいて提示情報を変化させることで,パフォーマンス(器用さ)を制御できる可能性があることが分かった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,一年目は提示情報を提示するためのシステム作りを行い,それを用いた器用さの評価や制御の可能性を探る調査は二年目に行う予定であった.実際には,視覚情報のみ提示するシステムを構築し,それに基づいて提示情報が器用さに与える影響について調査し,その結果,器用さを制御できる可能性があることを示すことができた.調査に関しては一部前倒しで行っていると言え,この点は当初計画以上に進んでいると言える.一方で視覚以外の聴覚や触覚に対する提示システムの構築はまだ完成しておらず,この点は当初計画より遅れていると言える.総合すれば,概ね順調に進展していると言える.
|
今後の研究の推進方策 |
視覚以外の聴覚や触覚に対する提示システムの構築はまだ完成しておらず,これらのシステム構築をまず,推進する.一方で,提示情報が器用さに与える影響の調査に関しても,単純な一種類の提示情報による影響を調べる基礎実験と,複数の提示情報を組み合わせて提示することで総合的な影響を調べる実験を並行して行うことで,より器用さ制御の可能性に踏み込む.
|
次年度の研究費の使用計画 |
視覚以外の聴覚や触覚に対する提示システムの構築はまだ完成しておらず,これらのシステム構築を行うため,これらの研究費を使用する予定である.また,当初予定していた学会発表など,研究成果の公表に関しても行っていく予定である.
|