研究課題
ヴァーチャルリアリティ技術を用いて,視覚,音,力などの提示することで,人が制作などを行う際のパフォーマンス(器用さ)を制御し,最終的には望みのパフォーマンスを獲得できることを目指す.具体題材として,道具を用いた作業として最も基本となる作業の一つである描画をとりあげた.人間は,運動学的には回転関節とリンクから構成されるため,曲線よりも直線の方が苦手である.実際,絵の教科書などで最初に行う練習が直線描画である.このことから,直線描画を題材とした.ペンタブレッド,PC,ディスプレイを活用することで,1)ディスプレイ上に視覚(サポート)情報を提示する,2)ペンタブレッドにて描かれた線をディスプレイ上に表示する,システムを構築した.幼児に字を学ばせる際,点線が使用されることを考慮し,目標情報として点線を用いた.点の図形を丸,四角,三角の三種類,またそれぞれに点の間隔を変えた2種類の画像を用いることで,図形と点の間隔の差異がパフォーマンスに与える影響を調べた.パフォーマンスの評価として,目標となる直線からのずれ量を評価基準の値とした.この値が大きいほど,“不器用”と考えることが出来る.全データの平均評価値を器用さレベルととらえ,レベル毎に区分すると,各グループにおいて評価値が高くなる提示情報が異なることが分かった.そこで,この情報をもとに,ヒトの器用さの制御を試みた.全データの平均評価値と相関が高い提示情報を提示して,器用さレベルを推測し,それに基づいて適切な提示情報を表示することで,,パフォーマンス(器用さ)を制御することを試みた.5割のヒトにおいて器用さの向上が見られた.提示情報の変化に驚くなど,別要因が重なったことが全員において器用さの向上が見られなかった原因と考える.今後は,再度実験条件を最適化し,再度器用さ制御が可能かどうかの検証に取り組む.
すべて 2013 その他
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Proceedings of IEEE International Conference on System, Man and Cybernetics (SMC)
ページ: 3561-3566
10.1109/SMC.2013.607
http://zkks.w3.kanazawa-u.ac.jp/watanabe/index.html