研究課題/領域番号 |
24650097
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 産業技術大学院大学 |
研究代表者 |
村越 英樹 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (60239514)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国別遠隔教育 / 身体表現論 / 異文化動作論 / 実時間模倣型アバター / 多国籍 |
研究概要 |
本研究は、アバター(インターネット上の自分の分身)の持つ特徴(変身、任意視点化、3D表示)を活用して、講師の容姿をアバターに実時間で表現し、複数の外国への同時遠隔講義を円滑に進めるアバターの身体表現・動作論を確立することを目的とする。具体的な研究内容として、[A]身体表現・動作の文化的要因(容姿や動作の習慣の差)による教育効果の影響度の解明、[B]高表現アバターから低表現アバター(マネキン、リンクモデル)への身体表現・動作における意識・理解度の違いの解明、および[C]背景の異なる複数国への同時遠隔教育法の実現化の検討、の研究テーマを掲げている。 [A]:日本と韓国及び中国の文化的要因による身体表現・動作の違いについて文献調査をするとともに、韓国・蔚山大学、中国・北京理工大学を訪問して、講義時における身体表現・動作の調査を行った。日韓の間では文献調査により、身体動作の意味または相手に与える印象に関して異なる動作表現があることが分かっていたので、蔚山大学では、模擬講義を行い、身体動作に関するアンケート調査を行った。一方、日中間では技術伝承のマニュアルの記載に相違があることに着目して、その違いについて北京理工大学の教員に聞き取り調査を行った。 [B]:教員が講義を実施するときの動作をモーションキャプチャ装置で記録し、四角錐を基本要素とするアバターを表示するシステムを試作した。この試作機を用いて作成したアバターによる講義を本学学生に視聴させて、講義内容の理解度、アバターの動作の理解等について調査し、その結果を公表した(根岸司,村尾俊幸,村越英樹,橋本洋志:アバターを用いた教示法の有効性の検討,第13回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,pp.1856-1857,2012-12)。 [C]:同時配信システムの検討を行い、本学が所有する器材で対応可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は3つの研究テーマ[A] 身体表現・動作の文化的要因(容姿や動作の習慣の差)による教育効果の影響度の解明、[B] 表現アバターから低表現アバターへの身体表現・動作における意識・理解度の違いの解明、[C] 景の異なる複数国への同時遠隔教育法の実現化の検討、に対して、[A-1] 国別の身体表現・動作、教育実施現場の調査、[A-2] 教育効果測定法の整備、[B-1] 実時間模倣型アバターシステムの整備、[C-1] 同時配信システムの検討・整備、を予定していた。以下にそれぞれの達成度について述べる。 [A-1] [A-2]:韓国と中国の教育現場における身体表現・動作に関する文献調査および訪問調査を行い、身体表現の違いによる教育効果への影響や文化的背景によるマニュアル記述の違いなどについて有益な知見を得ており、当初の目的は達成できたと判断できる。韓国、中国に対して、さらなる調査を続けるとともに、台湾、ベトナム等の他のアジア諸国の調査の手を広げていきたい。 [B-1]:教員が講義を実施する様子を記録し、アバターで表示する装置を試作した。この装置を用いて、本学の学生を被験者とした実証実験を行い、内容の理解度等に関するアンケート調査を実施している。この結果をまとめて、計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会で公表しており、当初の目的を十分達成していると判断できる。今後は複数アバターに対応すべく、システムの拡張を行っていく。 [C-1]:同時配信システムの検討を行い、本学がすでに所有している器材で対応できることを確認した。そのため、この課題についても達成できたと考える。今後は、異文化同時配信講義の検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
[A-1] 国別の身体表現・動作、教育実施現場の調査:これまでの調査で,さらなる身体表現・動作の違いがあることがわかった。また,同じ国の中でも地域による差があることが,文献調査,聞き取り調査などでわかった。そこで,本年度は,この調査をさらに進める。これに伴い,[A-2]教育効果測定法,これに関する調査を実施し,地域別にその方法論の違いを明記したドキュメントを作成する。 [B-2] 多様なアバターの開発と整備:[A-1]の知見を基に、当該国にあったアバターを複数開発する。現状では、四角錐を基本要素とするアバターを既に有しており、人間としての人体筋骨格モデルは既に開発済みである。ここに、国別に合せた高表現アバターと低表現アバターの設計指針について検討する。また、アバターの3次元や任意視点表示の効用について検討する。 [C-2] 異文化同時配信講義の検討:上記の項目を総合的に融合し、複数国(日本、中国、韓国、ベトナム、必要に応じて他国を加える予定)に対し、講義の同時配信を行えるように遠隔システムの整備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費:教示法の調査において,教示する姿や声などの映像・音声の大量データ保存が不可欠である。このための,計測記録用機器の購入を予定する。消耗品:ドキュメント作成のための用品を購入する予定である。 旅費:異文化における教示法の調査・研究旅費に主に充当する予定である。 謝金:異文化論に関する専門家,および,外国文献の翻訳などに充当する予定である。 その他:運搬費,参加費,会議費などに充当する予定である。
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