本研究は、アバター(インターネット上の自分の分身)の持つ特徴(変身、任意視点化、3D表示)を活用して、講師の容姿をアバターに実時間で表現し、複数の外国への同時遠隔講義を円滑に進めるアバターの身体表現・動作論を確立することを目的とする。具体的な研究内容として、[A]身体表現・動作の文化的要因(容姿や動作の習慣の差)による教育効果の影響度の解明、[B]高表現アバターから低表現アバター(マネキン、リンクモデル)への身体表現・動作における意識・理解度の違いの解明、および[C]背景の異なる複数国への同時遠隔教育法の実現化の検討、の研究テーマを掲げている。 本年度は、本研究の最終年度として、これまでの韓国および中国での調査結果をまとめて公表した。 東義大学(韓国)では、日韓間で異なる意味となる動作を取り入れた模擬講義を実施し、聴講学生にアンケート調査および聞き取り調査を行った。その結果、意味が異なる動作が講義内容の理解に影響することを確認した。この実験結果をまとめて、2014年度サービス学会第2回国内大会で発表した。 昨年度、中南大学(中国)および華東理工大学(中国)で実施したアンケート調査を分析し、中国人理工系学生が持つ学習スタイルと教育ニーズに関する特徴を求め、中国人理工系学生を対象とするe-Learningシステムおよびコンテンツの設計の際の指針を示した。この結果は、日本e-Learning学会誌に査読論文として掲載される(採録決定済み)。 また、アジア圏での新しい地域として、国立曁南国際大学(台湾)を訪問、調査を実施した。当大学は、国際文化・教育・比較教育を専門とする国際化した大学であり、多様な外国人留学生を多数受け入れている。異文化背景を考慮したe-Learningシステムおよびコンテンツの作成に有益な情報を収集した。
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