研究課題/領域番号 |
24650104
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70293248)
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研究分担者 |
大石 潔 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (40185187)
工藤 彰洋 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80455097)
南部 功夫 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (40553235)
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キーワード | 強化学習 / 頭外音像定位 |
研究概要 |
イヤホン受聴で頭外の任意の位置に音源があるように受聴者に知覚させる技術として、頭外音像定位技術があるが、任意の位置に存在する音源から両耳までの精度の高い伝達関数 (Head Related Transfer Function: HRTF) を必要とする。我々は、受聴者の主観評価に基づいて、強化学習により学習し、頭外音像定位の精度を向上させる手法を提案し、その能力、精度等を今年度は検討した。被験者実験では、7 人中3 人の受聴者において定位精度向上が確認され,そのうちの2 人においてSD の減少が確認され、試行回数を重ねる毎に学習によって劣化HRTF から元のHRTF に近づく結果を得、強化学習を用いて,受聴者の主観評価を基に,正確なHRTFを獲得できる可能性を示唆したが、学習時間が非常に長くかかるため、短時間での学習の可能性を検討するため学習パラーメータ等の調整を実施した。また、強化学習ソフトウエア等の信頼性をあげるためにソフトウエア整理・修正等を実施した。また、十分な学習速度を得ていないため引き続き検討を進める。また、ダミーヘッドのHRTFや他人のHRTFを初期状態として、被験者自身のHRTFの学習の可能性を検討し、学習可能性を示唆した。学習に脳波信号を利用する方法に関しては、脳波P300を使った学習を行うために単試行でのP300信号の同定方法について検討を実施した。脳波を使った方向定位感の評価についても検討を開始したが、まだ、十分に精度の高いHRTFが構成できていないため、詳細な検討が難しいが継続して進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は伝達関数の学習の可能性の検討、特に学習速度に関する点と、実用的なHRTFの学習初期状態からの学習の可能性を検討し、おおむね順調に進捗した。また、脳波を使った強化信号の推定アルゴリズムの確立に関して、単試行でのP300等のERPを検出するアルゴリズムの開発を実施し、これまでより精度の高い単試行ERPの検出の可能性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,(1)伝達関数の学習の可能性の検討と(2)脳波を使った強化信号の推定アルゴリズムの確立とともに,以下の研究を推進する。 (1)に関して、学習時間の短縮と、適切で実用的なHRTF初期状態からの学習の可能性を被験者N数を増やすことによって確認する。(2)については、既に頭外音像定位システムによって、頭外周囲に仮想音源をランダムに定位させた場合、被験者が意識している方向と定位させた仮想音源の方向が一致した場合には、脳波に事象関連電位(Event-Related Potential)が発生することを確認しており、特に刺激後300msec近辺に現れるP300の発生の有無によって、報酬信号あるいは失敗信号とすることを最初に検討する。最終的に脳波信号の判定による伝達関数の学習の可能性を示す。また、脳波を使った方向定位感の評価については、まだ、十分に精度の高いHRTFが構成できていないため、脳波による定位感の評価は難しいが、方向を限定する等によって、評価方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
被験者実験謝礼を来年度に繰り越したため。 来年度に被験者実験を推進し、研究目標を達成する。
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