研究課題/領域番号 |
24650105
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河野 憲二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40134530)
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研究分担者 |
松田 圭司 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50358024)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経科学 / 眼球運動 / 計測装置 / 輻輳運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトが豊富な視環境の中から処理すべき対象物を抽出し、視線を向けるときに起こる輻輳眼球運動とサッケード運動を調べ ることにより、実世界環境下で対象物の存在を感じ、眼を向けるための視空間情報処理を明らかにしようとするものである。そのため 、輻輳眼球運動とサッケード運動を計測するための高精度の眼球運動計測システムを新たに開発する。この高精度の眼球運動計測システムを用いて実世界環境下で被験者の眼から様々な距離に付置された対象物に視線を移す時の輻輳眼球運動をサッケード運動と同時に計測する。この結果を解析することにより、実世界環境下での視覚情報処理についての新たな知見を得ることを目指している。 平成26年度は、これまでの研究で作成した高精度の眼球運動計測システムを用いて、被験者に近い位置と遠い位置に置いた視覚刺激を交互に見させることにより輻輳眼球運動とサッケード運動を誘発し、計測した。その結果、教科書に記載され、よく知られている Yabus (1957) の実験結果とは異なり、輻輳眼球運動とサッケード運動の間に相互の干渉作用があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者に、近い位置と遠い位置に置いた視覚刺激を交互に見せることにより輻輳眼球運動とサッケード運動を誘発し、当該研究で作成した高精度の眼球運動計測システムを用いて計測した。その結果、教科書に記載され、よく知られている Yabus (1957) の実験結果とは異なり、輻輳眼球運動とサッケード運動の間に相互の干渉作用があることが明らかになった。この結果から、当該研究で開発した眼球運動計測システムを用いて実施する実世界環境下での計測の有効さが示された。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に眼球運動計測システムを完成させ、ヒトの眼球運動を計測し、その成果をまとめ論文として発表する予定であったが、実空間での視覚刺激の呈示距離の精度に問題が生じたため、計画を変更して、正確な位置に視覚刺激を呈示してデータをとりなおすこととした。このため、平成27年度に視覚刺激を近くと遠くの正確な位置に呈示するシステムを開発し、データをとりなおし、論文としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に眼球運動計測システムを完成させ、ヒトの眼球運動を計測し、その成果をまとめ論文として発表する予定であったが、実空間での視覚刺激の呈示距離の精度に問題が生じたため、計画を変更して、正確な位置に視覚刺激を呈示してデータをとりなおすこととしたため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、視覚刺激を近くと遠くの正確な位置に呈示するシステムを開発し、データをとりなおし、論文にまとめ国際誌に投稿、発表することとし、未使用額はその経費に充てることとした。
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