研究課題
1.感情・表情に関する脳機能計測と解析:アンドロイドロボットとヒトで同じ表情となるよう調整したビデオを36種類ずつ撮影し、それぞれに対する快―不快のレベルを質問紙によって調査した(20名)。その結果、アンドロイドロボットとヒトの表情に対する評価の違いは笑顔に現れ、アンドロイドロボットよりもヒトの笑顔でより快情動が強められるという結果が得られた。fMRI実験ではこのビデオを観察しているときの脳機能データを15名分取得した。このデータは現在解析を進めている。2.感情・表情の脳信号解読:頭蓋内脳波やfMRI、脳磁図を用いて計測した脳信号から、脳信号解読技術を用いて感情・表情の推定を行うために、脳信号解読アルゴリズムを比較・検討をした。3.リアルタイム感情・表情解読、ロボット制御システムの開発:脳信号をリアルタイムに解読し、その結果にもとづいてロボットを制御するためのコンピュータシステムのソフト開発を検討した。
2: おおむね順調に進展している
fMRIを用いた情動に関わる脳機能計測に関しては、アンドロイドロボットを情動刺激課題に組み込むなど、計画を上回る課題設定を行い、脳機能計測・解析とも前倒しで進んでいる。他のモダリティに関してはfMRIの結果を踏まえて実施するかどうかを検討している。感情・表情の脳信号解読とそれを用いたアンドロイド制御は挑戦的な課題ではあるが、検討を進めている。
1.感情・表情に関する脳機能計測と解析:平成24年度に計測した結果を解析し、快-不快に関わる領野の違いを明らかして、脳信号解読に用いる指標を検討する。2.感情・表情の脳信号解読:平成25年度半ばまでに感情・表情の脳信号解読手法を確立して、fMRIデータから快-不快の脳信号解読を行う。4.ヒューマノイドロボットによる感情・表情の表出:平成25年度にはヒューマノイドロボットに脳信号解読により推定した被験者の表情をヒューマノイドロボットで再現する。また解読した被験者の感情をヒューマノイドロボットの表情として表出する。脳信号解読だけでは十分な表情推定ができない場合には、顔面の動画像解析からの表情推定も加味した表情表出制御を考慮する。5.ヒトとヒューマノイドロボットとの親和的関係を構築するための方法論を構築:ヒューマノイドロボットとの親和的なコミュニケーションを行うため、解読した被験者の表情・感情に対して、適切な会話・表情をロボットに行わせる。対照として不適切な会話・表情も行わせる。会話・表情が適切・不適切な場合の被験者の反応をそれぞれ主観的・客観的に評価して、ヒトとロボットの調和的・親和的関係を築くための方法を構築する。研究を総括して、今後すすむ高齢者社会で高齢者がロボットと親和的な関係を築いて幸福な老後生活をおくるための方法論を提案する。
fMRIの追加実験にMRI使用料を100万円、成果発表に20万円、被験者謝金に10万円、消耗品に44万円を使用する計画である。
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Neuroreport
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http://www.gcoe-cnr.osaka-u.ac.jp/