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2013 年度 実施状況報告書

マルチモーダル感性認知機構の高効率なモデル化と実環境快適化への応用

研究課題

研究課題/領域番号 24650110
研究機関中央大学

研究代表者

加藤 俊一  中央大学, 理工学部, 教授 (50297107)

キーワード感性情報処理 / 感性認知科学・感性心理学 / 感性的共生
研究概要

(a) マルチモーダルな感性の学習方式では、多感覚の相互作用や総合的なイメージのモデル化を、各感覚刺激の強さ(パワー)ではなく、各感覚の中でのコントラストに基づく情報量と、感覚間での情報量の対比に基づいて、全体としての知覚への影響の強さを統合することにより、各感覚での知覚感性のモデル化と、複数の感覚からの影響のモデル化を分離して行える方式のモデル化と実験を通した評価を行った。
(b) 物理的な刺激・生理的な指標・主観評価の関連性の解明では、実環境内のマルチメディア刺激(視覚・聴覚)に関しては、刺激の物理的な計測とともに、側抑制・順応などの感覚神経系の働きを経て受容される刺激を数理的にモデル化した。生理的な指標に関しては、環境内での利用者(被験者)の視線や脳血流の変化を計測した。また、多色配色の中で人間に強く知覚される色の抽出過程を、ベースカラー・アクセントカラーの考え方に基づいてモデル化した。その結果、面積が主要な不因子となるベースカラーに対して、面積が少なくても彩度差の高い刺激に対してアクセント性を感じ、全体のイメージ(印象)の近くに大きな影響を与えることがわかった。これらの計測値と主観評価との関連性を分析し、被験者の主観的な興味の有無と計測値との関係を手掛かりに、マルチモーダルな統合過程の推定を進めた。
(c) 利用者に負担の少ない学習方式に関しては、インテリア・ファッションなどの配色から受けるイメージを学習する過程を例に、利用者が提示する10枚程度の例示画像から、システムが自動的に共通する特徴を発見して数グループに分類し、また各グループ毎に、そのグループ内で共通する特徴を持つ多数の画像をデータベースから検索し、検索された結果の中で不適切な画像を除くというrelevance feedbackの一種となる手法を開発し評価した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(a) マルチモーダルな感性の学習方式と(b) 物理的な刺激・生理的な指標・主観評価の関連性の解明: 初年度からの実験を引き続き進め、我々の提案するマルチモーダルな感性認知過程のモデル化手法の妥当性を、情報学・人間工学の両面から検証し、視覚のように物理量を計測しやすい感覚に関しては、感覚神経系を模した特徴抽出手法を採用し、また、人間の無意識の応答反応として、視線と滞留時間、脳血流と脳活動の部位の精密な計測を行った。
人間に知覚される刺激の主観評価は、刺激の量・強さそのものではなく、平均的な刺激との差異、すなわち、情報量によって影響されるという我々の仮説を、配色パターンから受ける印象の評価・モデル化を例に検討した。その結果、カラーコーディネイトの分野などで経験的に語られている配色の方法論を、より正確に、数理的に定式化することができた。
(c) 利用者に負担の少ない学習方式: 具体的には、利用者が提示する10枚程度の例示画像から、システムが自動的に共通する特徴を発見して数グループに分類し、また各グループ毎に、そのグループ内で共通する特徴を持つ多数の画像をデータベースから検索することにより、教示データ群を半自動的に構成し、構造化(細分類)する手法を開発した。精度の高い学習を行うためには、教示データ群に含められた教示データ候補画像の内から、利用者は検索された結果の中で不適切な画像を除くだけでよい。システムは、このようにして補充された画像集合を教示データとみなして、統計的分析を適用してモデル化する。ファッション写真、商品写真などを対象に、上記の手法を適用し、丁寧に教示データを与えて学習させた場合に比して、同程度の学習制度を実現するのに、約1/100程度の教示データで、工数(作業時間)は1/4に低減することができた。

今後の研究の推進方策

以上の技術の総合評価実験として、一般の住居や高齢者のグループホームの一室を模した部屋を構築し、環境雑音などのあるもとで、空間内の個人の特性に適合した方法で、空間の イメージを所望の快適性の高いイメージに近づけるための制御機構を開発する。
例えば、利用者がマルチモーダルに知覚する室内環境のイメージを希望するイメージに近づけられるように、メディア刺激(例:映像、BGM)を環境に重畳して、主観的に感じる環境を制御することへの応用を検討する。

次年度の研究費の使用計画

基礎的な手法の確認を優先し、当初想定していた多人数での評価実験等を先のべしたため。
実験の時期を適時設定し、所期に目標とした実験データの裏付けを得ることとしたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Responses Analysis of Visual and Linguistic Information on Digital Signage Using fNIRS

    • 著者名/発表者名
      Satoru Iteya, Atsushi Maki, Toshikazu Kato
    • 学会等名
      Human Computer Interaction International 2013
    • 発表場所
      Las Vegas, NV, USA
  • [学会発表] Relationship Analysis between Subjective Evaluation and NIRS-Based Index on Video Content

    • 著者名/発表者名
      Shinsuke Mitsui, Atsushi Maki, Toshikazu Kato
    • 学会等名
      Human Computer Interaction International 2013
    • 発表場所
      Las Vegas, NV, USA

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公開日: 2015-05-28  

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