研究概要 |
本研究では、小さな情動変化を伴う主観的現象である「気づき」が創造的行動の初期に作用すること、および創造過程の継続に効果を及ぼすかを脳機能イメージングにより客観的に明らかにすることを目的とした。コーチング時の気づきの瞬間を音声音声分析により客観的に測定し、その前後の言葉のテキスト情報の達成率を検討、同時に大脳賦活化部位がどのように関連しているのかを測定できるかについて計測可能な実験系の確立を目指した。 実験系の確立には、1)気づきの瞬間の客観的検出、2)前後の言語テキスト情報の抽出および将来の実現性の客観的評価、3)創造性に関与すると考えられる大脳賦活化の計測が必要となる。今回は、1)に関し“Voice Activity Degree Analysis in Telephone Coaching. pp.39-46, IADIS 2012 (Lisbon)”にて報告したように少数例において気づきの時点における音声変化の客観的計測可能性を報告し、2)に関しては解析継続中であり現時点は方法論の確立までには至っておらず、3)に関してはfNIRS(近赤外線分光法)を用い「創造性」に関するイメージ想起時の大脳賦活化を「後頭葉賦活化fNIRS計測によるコーチング中の視覚イメージ検出」として、また計測時の外乱の相対的強度を計測する目的で「健常人の散瞳時光負荷におけるfNIRS大脳賦活化シグナルによる羞明の定量化と皮膚血流外乱の影響」として本年7月日本光脳機能イメージング学会学術集会にて発表予定である。 まだ解析途中の部分を含み総合的に気づきの作用点と効果を明かにしたとは断言はできていないが、これらの計測方法の組み合わせにより今後このようなヒトにおける創造性の仕組みの一部分が解析できる可能性が示唆されると考える。
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