研究概要 |
1)WEBサイトの効果:東日本大震災をきっかけに,トリアージタグの不備が問題視されるようになり,日本救急医学会がトリアージタグの改善に向けた検討を始めた(2013,11/2付読売新聞)。トリアージタグが,色覚に異常がある人にとって判別しにくい場合があることは,我々が本研究で構築したCUDに関するWEBサイトでも提唱していたものであり,前述の医療ニュース関連のWEBサイトで参考例として取り上げられた。このことは本研究が医療環境の改善に寄与したことを示すものである。 2)色覚障害者にも優しい図案の作成法:原図案の作成者のコンセプトやイメージを残したまま,CUDを考慮した図案改良を行う場合,色相の変更は最小限にとどめ,ハッチング効果(背景に斜線や水玉模様を配す)やセパレーション効果(縁取りを施す)などの技法を応用することが最適であることが研究の過程で判明した。これらの技法は,製品パッケージ,パンフレット,患者誘導用道路標識などに応用される。一方,各種医薬品のPTP包装については,対象の種類が多いことより包装自体は改善することなく,必要に応じて随時,色相の異なるラインをPTP表面に描くことで外見が類似した医薬品を区別する簡便法を提案する。 3)色相イメージと脳波の関連性:色相をイメージすることによる脳波の変化を評価することを目的として,黄色,緑色,青色,赤色の4色をそれぞれ3分間目視後に,当該色相をイメージしながら3分間脳波を閉眼条件下で測定したが,各色相において脳波上の影響は確認できなかった(未発表)。色相が脳波(α波およびβ波)に及ぼす影響については,今後も検討を重ねる予定である。また,本研究で構築したCUD関連のWEBサイトでは引き続き情報提供を継続する。
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