研究課題
本年度は1)ブレイン=マシンインタフェース(BMI)による遠隔操作時の身体感覚転移に関して昨年度に引き続き検証すると共に、2) 遠隔操作対象の見かけの影響を検証した。まず、1)については、昨年度の実験から、固有感覚や触覚のフィードバック無しに、身体を動かそうとする意図(agency)とその視覚フィートバックのみでも身体感覚転移が生じることを確認できている。この結果をさらに詳細に検討した結果、視覚フィードバックの与え方により、転移の度合いが変わってくることが判った。即ち、BMIによる脳波の識別がうまくいっていない場合であっても、偽のフィードバックを与えてやることで、身体感覚転移の度合いが向上することが分かった。この際、脳内で生じている現象を、脳波の空間的パターンの分析により検証したところ、偽のポジティブなフィードバックを与えることで、BMIに使用する脳波の空間的な分離性が高まること、すなわちアダプティブな識別器を用いることで、徐々にBMI自体のパフォーマンスが向上することが判った。この結果から、身体感覚転移を向上させることで、BMI自体のパフォーマンスが向上し、さらにこのパフォーマンス向上により身体感覚転移が強化される、という正のフィードバックループが構成できる可能性がある。今後、さらに検証を進めたい。また、2) の外見の作用に関しては、人に似たアンドロイドロボットに加え、ロボットアーム、コンピュータグラフィックス(CG)を用いて身体感覚転移の実験を行った。その結果、ロボットアームやCGでもある程度の効果がみられることが判ったが、人に似たアンドロイドロボットと比べると、その強度はかなり低い。今後、馴化条件などを修正することで、人工物に対する身体感覚転移の強化の検証を進めたい。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
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