研究課題
本計画研究ではベイジアンネットと確率伝搬法にもとづく予測・推論システムを用いたモバイルアドホックネットワーク設計理論の構築を行うことを目的としている.平成25年度は平成24年度において得られた完全グラフ上の確率モデルに対する確率伝搬法の収束性に関する知見を完全グラフに近い形で構成されるグラフ構造を持つノードグループとそのノードグループ間のいくつかのノード対が疎に結合することで構成されるネットワーク構造を持つランダムグラフに対する確率伝搬法のアルゴリズム設計を行いその動作確認をまず行っている.特にいくつかの統計量のモデルパラメータ依存性を詳細に解析し,複数の特異点が出現することを明らかにすることができた.これは当初の計画では想定されなかった新たな知見であり,本研究計画の成果の一つとして位置づけられる.この知見をもとに拡張されたマルコフ確率場モデルから少数のノードを通信機器と見立てた疑似モバイルアドホックネットワーク上での数値実験を実行し,その妥当性の検証を行っている.同時に統計的学習理論に従ってモデル選択および予測・推論を行う学習アルゴリズムの構成を上述の改良された確率伝搬法をもとに進めた.更に副産物として完全グラフ上およびランダムグラフ上のマルコフ確率場モデルの定式化を画像の領域分割の計算モデルおよび都市における交通流予測の問題に適用する研究成果が得られている.研究代表者は6月と9月の外国出張において仏国CEA SaclayのLenka Zdeborova研究員,伊国Roma大学La Sapienza校のFederico Ricci-Tersenghi准教授,Tommaso Rizzo研究員,Jack Raymond研究員に研究成果の一部を説明し,得られた助言をもとに研究成果の取りまとめを進めた.
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Inverse Problems
巻: Vol.30, No.2, Article No.025003 ページ: 1-14
10.1088/0266-5611/30/2/025003
日本オペレーションズ・リサーチ学会機関誌「オペレー ションズ・リサーチ」
巻: Vol.58, No.4 ページ: 191-197