自然エネルギーを有効利用し,建設コストが小さい情報収集発信システムとして,カイトに2自由度風速計,GPS,気圧計と無線通信装置を取り付けた飛行ユニット,これを牽引するテザー,テザーを制御するウインチ機構と飛行制御装置を持つ地上制御ユニットで構成される自律テザー係留型飛行ロボットを構築した.また,このシステムのための自動飛翔制御システムや係留制御システムの構築をシミュレーション上で構築し,実環境で実証実験した. 安定した飛行制御器を構築するために,ヒトによる凧揚げの要領を模倣したファジィ制御による制御手法を開発し,これをシミュレーションや実ロボットによる実験によってその有効性を確認した.さらに,ファジィ制御のためのパラメータをヒトの操作データをもとに学習する手法を提案し,シミュレーション上でその有効性を確認した.また,ファジィ制御以外のアプローチ,人工ニューラルネットやk近傍法による学習など複数のアプローチを試し,それぞれのアプローチの有効性をシミュレーション上で確認した. 前年度まで利用してきたカイトやテザーを制御するウインチ機構が小さく,飛行ユニットに搭載する計測装置の重さが制限され,かつ風速が約秒速4m以上でなければ安定した実験ができなかったため,カイトとウインチ機構を大型化したものを設計・製作し,最大100kgfまで牽引でき,最速5m/秒で巻き取ることを実験によって確認した.実環境における飛行実験によって得られたデータをもとに,新たな大型化したカイトを用いたテザー係留型飛行ロボットのシミュレータのパラメータを同定し,実機を模した運動をシミュレーションできることを確認した.
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