研究課題/領域番号 |
24650123
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 良彦 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80379156)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 画像が伝える意味 / 情報メディア / 画像メディア / 言語学 / Web画像検索 |
研究概要 |
本研究は,特に画像による言語的意味概念のグランディングの可能性の探求を究極の目的とし,どのような意味概念が画像により想起・説明されうるかを探索的に研究する.また,言語で表現された意味概念を想起・説明する画像をWeb 情報空間から検索する手法について知見を得ることも目的である. 平成24年度は,(1) 複合的な概念を表す日本語言語表現の集合を定める,(2) Web 画像検索の結果に対して適合性を評定する,(3) 画像による想起・説明が行いやすい/行いにくい意味概念の意味的な性質を明らかにする,という3つの研究項目を挙げていた. まず,(1)については,心理言語学の分野において公開されている,英語の概念・意味属性体系 (McRaeら, 2005)に着目することとしたため,英語の複合概念に基づくことに方向転換した.次に,(2)この体系の中で示される複合概念の中で視覚的なもの,視覚的でないもの,それぞれ約270種類,計535種類の複合概念から約2,400種類の概念記述表現を生成し,これをクエリとしてWeb画像検索を行うことにより画像を収集(異なりで約30,000点)し,これらに対して,人手により適合性評定を行った.現在 (3) についての分析を進めているところであるが,(a) 視覚的な複合概念はWeb検索により画像を得やすい,(b) 生物の意図的な行動に関わる複合概念が無生物の動きに比べて画像を得やすい,(c) 動詞原形を用いた平叙文の表現よりも進行形を用いた表現の方が適合画像を得やすいといった傾向がすでに明らかとなっており,さらに,主語に位置するオブジェクトの意味特性,動詞の意味特性などとの関連について,分析・調査を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初は日本語の複合的概念表現を対象とすることとしていたが,【研究実績の概要】の項に述べたように,英語の概念属性規定表現(約2,400種)に対し,Web画像検索を行い,得られた画像(異なり件数で約30,000点)に対し,適合性評価を付与したデータを作成したが,その詳細な分析については,完了させることができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に作成した,Web画像の適合性データに対し,詳細な意味的な分析を加える.さらに,適合性が高いとされた画像データに対し,自然言語(できれば複数言語)によるアノテーションを付与し,もともとの概念属性記述(クエリ)との差異を詳細に分析し,画像によってグランディングされる意味・概念の特性の解明にチャレンジする.
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次年度の研究費の使用計画 |
(1) 適合性が高いと評定された画像(約5,000点程度を想定)に対し,複数の言語(英語,日本語,中国語など)によるアノテーションを付与する役務作業を行う.(約1,200千円) (2) 研究成果を発表し,関連研究者との議論・情報交換を行うため,学術的国際会議に参加する.(約300千円)
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