言語表現が担う意味を言語独立性の高い非言語メディア情報を用いて適切に表現することができれば,インタラクティブな情報アクセスにおける有用な手がかりとして利用できるほか,コミュニケーション支援や言語学習などにも適用が可能である. 本研究では,非言語メディア情報として画像を取り上げ,ある概念(例:beaver) に対して心理言語学的な手法により導かれた概念意味特徴(例:beaver builds dams;beaver chews on woords) がどの程度Web画像検索により収集できる画像(以下,Web画像)により表現されうるかを調査した.この結果,動物の摂食行動や,主に物理的な動き・移動に関した基本行動がWeb画像により表現されやすいことを確認した.また,英語による概念意味特徴において,より良い画像検索結果を得るためのクエリ生成手法について評価を行い,動詞の-ing 形を用いることが有用であることを確認した. さらに,上記で収集したWeb画像,および,それらの概念意味特徴に対する適合度(以下,Web画像適合度)に関するデータを用い,Web画像適合度の評定を行った評定者とは異なる評定者2 名により言語注釈を付与し,画像検索におけるクエリとして用いた概念意味特徴と第三者の評定者による言語注釈との間の類似度と,Web画像適合度の間の関連性の分析を試みた.その結果,両者の間には中程度の相関関係が認められることを確認した.これは,「難しい」画像は様々に解釈される可能性があることを示す.また,適合度の予測においては,とくに動詞の類似度が重要な役割を果たすことが分かった.
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