研究課題/領域番号 |
24650124
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小澤 哲 茨城大学, 理工学研究科, 特任教授 (20125793)
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研究分担者 |
湊 淳 茨城大学, 理工学研究科, 教授 (00209826)
伊多波 正徳 茨城大学, 工学部, 講師 (50400601)
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キーワード | 歴史情報 / パターン認識 / 画像処理 |
研究概要 |
南アジア古代文字のなかで最も重要なブラフミー文字の特徴をコンピュータを使って客観的に識別する方法について研究し,「データ解析機能を持つデータベースシステム」を開発した。これを使って,石碑の拓本及びその写真集の形態で蓄積されている膨大なブラフミー文字データをデジタル画像化して,そのデータベースの構築を開始した。ブラフミー文字の時代変遷を明らかにするため,同一時代の同一文字データをコンピュータを使って一文字当たり30サンプル以上について,独自の画像解析手法によって分析し,それらに共通の形状的特徴を抽出した。これによって「時代別標準的ブラフミー文字フォント」を生成することができた。「時代別標準的ブラフミー文字フォント」と,碑文文字を比較することにより,碑文の自動判読が可能である。これを行うアルゴリズムを開発し,データベースシステムに組み込んだ。その結果,年代推定や文字の時代遷移をコンピュータを使って客観的に研究できる方法が準備されたことになる。南アジア各種古代文字の時間的空間的な展開過程を解明する総合的データベース構築のための第一歩とすることが,当該研究の目的である。なお,当該研究は,遺跡の風化と環境問題との関連(とりわけ各種センサー技術)や現地調査にICT技術(GPSや電子地図技術)を活用するなどして総合的データベースとする努力が為されている。また,既存の知識共有データベースシステム(KISSEL)との連携にも特に留意して研究が進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
石碑の拓本及びその写真集の形態で蓄積されているブラフミー文字データをデジタル画像化して,そのデータベースを構築できたこと。独自に画像解析手法を開発したこと。これを使ってブラフミー文字データを解析し,それらに共通の特徴を客観的に抽出し,「時代別標準的ブラフミー文字フォント」を生成することができたこと。碑文の自動判読の方法を提案できたこと。南アジア各種古代文字の時間的空間的な展開過程を解明する総合的データベース構築への青写真ができたこと。以上が研究が「おおむね順調に進展している」と判断する理由である。
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今後の研究の推進方策 |
南アジア各種古代文字の時間的空間的な展開過程を解明する総合的データベース構築へ向けて継続的な研究を行う。とりわけ,次年度(最終年度)は,これまでの成果を踏まえて,スリランカのブラフミー文字とインドネシアの古代文字の時代変遷の相関に関する研究を実施する。このため,インドネシアでのデータ収集を主な作業項目とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
納品等の関係で,物品費の実支出が見込み額より少なくなったため。 次年度の旅費及び物品費に上積して利用する。
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