研究課題/領域番号 |
24650125
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
江夏 由樹 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10194002)
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研究分担者 |
床井 啓太郎 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助手 (20508650)
福島 知己 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助手 (30377064)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 一橋大学 / 社会科学古典資料 / 旅行記 / 17-19世紀 / アジア / ロシア / 電子化 / 目録作成 |
研究概要 |
(1)旅行記の目録作成 一橋大学社会科学古典資料センター所蔵の西欧人によるロシア・アジア旅行記の目録作成を進めた。平成24年度はメンガー文庫、フランクリン文庫、一般貴重書に含まれる当該地域の旅行記のうち、英語、フランス語、イタリア語で記された資料の一部について調査を行った。いずれも稀覯資料であり、資料保存状態の良くないものも含まれていることから、その保存状況の確認から着手した。調査の具体的な項目は以下の通りである。旅行記の著者(旅行者)、旅行の年代、旅行目的、経路・訪問地の詳細、同行者、使用言語、挿絵・地図の有無、内容の要約である。平成24年度の調査件数は44件(うち、英語22件、フランス語19件、イタリア語3件)であった。同一タイトルの翻訳書が含まれていたので、その異同についても調査した。 (2)国内における訪問調査 床井啓太郎(研究分担者)は京都大学附属図書館、京都外国語大学附属図書館、立命館大学アートリサーチセンターにおいて、アーカイビングおよび電子化の手法について聞き取り調査を行った。この調査で、立命館大学アートリサーチセンターのARCモデルに代表される、集中的・網羅的なアーカイビング手法、メタデータ、検索機能、インターフェイスの作成、データベースの運用等について知見が得られた。また、江夏由樹(研究代表者)は山口県立公文書館の資料電子化の手法について訪問調査を行った。 (3)江夏、床井、福島知己(研究分担者)は毎月開催される研究会において、目録作成とは別に、各自が分担して読み進めた旅行記の内容紹介を行った。また、床井、江夏は上記の訪問調査の成果についても研究会で報告、意見交換を進めた。江夏は旅行記の研究という視点から、20世紀前期、中国東北部(満洲)の羊毛の問題について調査旅行した井島重保の調査記録の内容を、復旦大学で開催された学会で講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象とする資料がいずれも稀覯資料であり、その取扱いには十分な配慮を必要とすることから、目録作成に従事する研究補助者の任用には慎重を期した。そうした点で適切な人材を確保できたことから、目録作成作業はおおむね順調に進めることができた。当初予定していた英語、フランス語文献だけでなく、イタリア語文献の調査・目録作成ができたことは大きな収穫であった。調査件数は44件であったが、「研究実績の概要」に記したような、各資料の内容を比較的詳細な形で目録にまとめることができたことは、大きな成果であった。 京都大学附属図書館、立命館大学アートリサーチセンター、京都外国語大学附属図書館等を訪問調査し、それぞれの機関における所蔵資料の電子化の状況、その手法・問題点等について担当者の説明を聞くことができたことは、本プロジェクトの今後の展開を策定していくうえで大きな参考となった。月例研究会においては、そうした資料のインターネット上での公開に関する問題点を取り上げ、意見交換を進めた。 月例研究会においては、江夏、床井、福島がそれぞれに担当した資料の内容を紹介するなかで、本センターが所蔵する資料の個々の内容についての調査を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)所蔵資料の調査・目録化を継続して推進していく。その際、個々の所蔵資料に収められた挿絵・地図等を、とりあえず、例示的に、本センターのホームページ上で公開することを目指す。また、英語、フランス語、ドイツ語以外の言語で記された資料については、言語別にその概要をまとめる作業を平行的に進めていく。本事業の最終年度である平成26年度にはまとめた目録をセンターのホームページ上で公開する。 (2)他の研究機関が行っている古典資料のインターネット上での公開事業について、その方法・課題等に関する訪問調査を継続して行う。 (3)江夏、床井、福島は分担して、センターが所蔵する個々の資料の内容把握につとめ、その内容を重点的に研究する必要があると思われる文献のリストアップを行う。 (4)上記3点の研究活動の内容を定例研究会において検証し、萌芽的な位置づけにある本プロジェクトをより本格的な研究プロジェクトに組織するための方策を探る。また、本プロジェクトによる研究成果はセンターの『年報』等で順次公表していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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