研究課題/領域番号 |
24650125
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
江夏 由樹 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10194002)
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研究分担者 |
床井 啓太郎 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助手 (20508650)
福島 知己 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助手 (30377064)
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キーワード | 一橋大学社会科学古典資料センター / 18-19世紀 / 西欧人によるアジア旅行記 |
研究概要 |
一橋大学社会科学古典資料センターに所蔵されている文献のなかに、18-19世紀の西欧人等によって記されたロシア・アジア旅行記がかなりの冊数で残されていることを確認できた。英語、ドイツ語、フランス語で記された旅行記については、大学院生を雇用することにより、一冊一冊について確認作業を行い、その書名、著者名、出版年、旅行者、経路・訪問地、旅行目的、地図・挿絵等の有無などについて概要をまとめた。これら旅行記(59冊)の概要は、『一橋大学社会科学古典資料センター年報 34』に公表した。興味深い文献の例として、ヴァシーリィ・ゴロヴニンの日本滞在記録である『日本幽囚記』(1816)、ベニョフスキーのアジア・太平洋航海記(1790)、英国のジョージ・マカートニーの使節に同行したジョージ・スタウトンの残した中国に関する記録(1797)、清朝時代の満洲人官僚であったトゥリシェンのシベリア紀行である『夷域録』の英訳(1821)などについて、上記『古典資料センター年報 34』で紹介した。 近現代東北アジア地域史研究会(平成25年12月14日、日本大学文理学部)の大会において、江夏由樹(研究代表者)、福島知己(研究分担者)、床井啓太郎(研究分担者)は本プロジェクトのこれまでの研究成果について講演した。 江夏由樹、床井啓太郎(研究分担者)は、それぞれ、近畿大学図書館、静岡県立図書館などにおいて、ヨーロッパ人の手によるアジア古地図、上記のゴローヴニンが幕府役人に残した『露仏辞書』などについての調査を行った。 毎月、研究会を開催し、プロジェクトの進捗状況を確認、代表者・分担者が進めている研究の成果について相互に報告し、意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から想定していたように、一橋大学社会科学古典資料センターには西欧人が記したロシア・アジア旅行記が数多く所蔵されていることを確認できた。それら書籍は、メンガ―文庫、フランクリン文庫だけではなはく、旧来から一橋大学が所蔵していた渋沢文庫、陸軍経理学校所蔵図書などの中にも残されていることを明らかにできた。 英語、ドイツ語、フランス語を解する院生をプロジェクト協力者(7名)として順調に雇用することができた。その結果、平成25年度は59冊の書籍についてその内容確認をすることができた。 平成25年度の研究成果を『一橋大学社会科学古典資料センター年報 34』に公表することができた。また、近現代東北アジア地域研究会のシンポジウムにおいて本プロジェクトを紹介する機会を得、参加者から貴重な情報を得ることができた。 近畿大学図書館、静岡県立図書館において、関係資料を調査できたことは大きな成果であった。 計画した通り、毎月一回、プロジェクトの研究会を開催し、十分な情報交換をすることができた。 以上の理由により、本プロジェクトの今年度の達成度はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度と同様、大学院生アルバイトを雇用し、古典資料センターが所属する英語、ドイツ語、フランス語の旅行記の調査を進め、書名、著者名、発行年、旅行者名、旅行年代、旅行目的、経路・訪問地、地図・挿絵等の有無等について、その概要をまとめる。平成26年度はイタリア語文献についても調査を進め、全体で80冊程度の文献についての情報をまとめる。文献調査の成果は平成25年度と同様、『一橋大学社会科学古典資料センター年報』に公表する。こうした作業と並行して、ロシア語文献がどの程度所蔵されているかについても調査を進める。 他大学の図書館等に所蔵されている同種の旅行記の所蔵状況について継続して調査を進める。 研究会の毎月開催を継続して進め、プロジェクトの進行状況を確認するとともに、研究成果について相互に報告し、意見交換を行う。 平成26年度は本プロジェクトの最終年度にあたることから、さらに研究を深化させるため、平成27年度以降の科研申請に向けた準備を行う。
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