研究課題
本研究では,飼育下および野生の環境下におけるチンパンジーとヒトとの相互行為を分析し,両者の行動が時間的にどのように組織化されているのかを解明する.とくに身ぶり,物,音声という3種類の記号論的資源に注目して,チンパンジーとヒトがこれらを用いて相互に行動を調整し,相互行為的な能力を構成するプロセスを明らかにする.プロジェクト最終年度となる平成26年度は,謝金バイトを雇用し,これまでに(株)林原生物化学研究所類人猿研究センター(GARI)等で収集してきたチンパンジーとヒトの相互行為場面の動画資料の整理を進めるとともに,研究代表者と連携協力者がその解析を進めた.また,とくにヒト-チンパンジー間相互行為における音声の利用に焦点をあて,組織的な分析を行った.とくに注目すべき相互行為場面では,身ぶりや会話を分析するためのソフトウェアであるELANを用いて動画資料を取り込み,(1)ヒトとチンパンジーの言語的・非言語的やりとりの文字起こし,(2)背景から身ぶりを切り抜いた静止画像,(3)チンパンジーおよびヒトの音声の波形を作成し,これらを関連づけながら,相互行為が時間的にどのように組織化されているかを分析した.11月にはドイツ,オランダ,デンマークで関連する研究を行っている研究者との会合を行い,さらに3月には九州大学と京都大学野生動物研究センター熊本サンクチュアリでワークショップを開催して,上記の分析の妥当性を検討した.また毎月行っている「コミュニケーションの自然誌研究会」では,連携研究者を含む霊長類学者らとヒト-チンパンジー間相互行為についての議論を重ねている.これらの研究の成果は,本報告書に記した著著,論文,学会等で公表してきた.また,本プロジェクトで独自に作成した和文・英文のHPでは,プロジェクトの進行や成果を随時公開している.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件) 備考 (2件)
乳幼児医学・心理学研究(招待論文)
巻: 23(1) ページ: 11-18
Research in Khoisan Studies
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日本人類学会進化人類学分科会ニューズレター
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マハレ珍聞
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http://www.cci.jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/hci/
http://www.cci.jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/hci/en/