研究課題/領域番号 |
24650141
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
児玉 亨 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 副参事研究員 (20195746)
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研究分担者 |
渡辺 正孝 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 特任研究員 (50092383)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | デフォルト活動 / ドーパミン / 前頭葉 |
研究概要 |
「内省」は前頭葉が担う最もヒトらしい脳機能の1つである。この内省にデフォルト活動が関係しているという報告がある。しかし、神経発火活動および神経伝達物質の観点からのデフォルト活動の実態に迫る脳神経生理学的知見は非常に少ない。本研究は霊長類を用いて生理薬理的手法と遺伝子導入によりデフォルト活動を形作るものは何かを明らかにし、その制御不全であると考えられる、精神疾患、発達障害における脳活動の基盤解明と治療にこれまでと違う側面から迫る目的で実施している。 実験動物の訓練・準備:サル2頭を用い、オペラント反応をサルに学習させた。学習完成後、脳波・ニューロン活動記録のための手術を実施した。ネンブタール麻酔下に頭蓋上に頭部固定用金具と脳波記録電極を固定、手術後頭を固定した状態でサルが課題を行えるまで訓練を行った。 神経伝達物質の同時測定実験: マイクロダイアリシス実験では、サルが報酬を求めて学習行動をしているときとデフォルト状態の時の、脳内における神経伝達物質の動態を調べている。なお、サルの固定には、ニューロン活動の記録時に用いたものと同じ方法を用いる。脳内の神経伝達物質を測定するために、脳内にサンプリング用プローブを植え込む。そのプローブにポンプ生理食塩水を流し続け、プローブの先端にある半透膜の浸透圧を利用して、脳内の化学物質を集めた。集めたサンプルは高速液体クロマトグラフィーにより神経伝達物質の量を調べ、デフォルト活動維持に関係する神経伝達物質としてまずドーパミンを解析している。 これまでの実験により得られた結果の一部を本年度(平成25年)の北米神経科学において報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究所移転後の実験施設も順調に稼働しており計画通りに進行している。 実験動物の訓練・準備:サル2頭を用い、オペラント反応をサルに学習させた。学習完成後、脳波・ニューロン活動記録のための頭蓋上に頭部固定用金具と脳波記録電極を固定した。さらに手術から回復後、頭を固定した状態でサルが課題を行えるまで訓練を完成させた。 神経伝達物質の同時測定実験: マイクロダイアリシス実験では、サルが報酬を求めて学習行動をしているときとデフォルト状態の時の、脳内における神経伝達物質の動態を調べるために、脳内にサンプリング用プローブを植え込む。そのプローブにポンプ生理食塩水を流し続け、プローブの先端にある半透膜の浸透圧を利用して、脳内の化学物質を集めた。集めたサンプルは高速液体クロマトグラフィーにより神経伝達物質の量を調べ、デフォルト活動維持に関係する神経伝達物質としてまずドーパミンを解析している。実験により得られた結果の一部を北米神経科学において報告する予定である。 神経活動とフィールド電位の記録:訓練完成した動物に再度麻酔下で電極を脳内に挿入するための支持台を取りニューロン活動とフィールド電位を記録した。フィールドポテンシャルの変化は予想したより捉えるのが困難で方法を検討している。しかし、行動を基準として神経伝達物質の変化が得られているので研究実施には影響がないと考える。 薬理的手法による神経伝達物質操作: 神経伝達物質用のマイクロダイアリシスプローブを用いてデフォルト関連部位に受容体のアゴニスト、アンタゴニストを注入し薬理作用の検討を開始した。現在課題遂行とデフォルト活動に変化がおこるかを調べている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り進める方針である。 一部遺伝子の計画は困難を伴っており場合によっては他の手法に変更を考慮して検討中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の実験をデーター数を増やして検討する予定である。 さらに麻薬、覚醒剤に伴う報酬系の活動:麻薬、覚醒剤は最も報酬の持つ力(報酬価)が高く、ヒトでも動物でも、側坐核の活動がこれら薬物の投与に伴う快と強く結びついていることが知られている。しかしながら、他の脳部位がどのくらい活動するのかに関し、十分解明されているとは言えない。ここでは、麻薬、覚醒剤が、サルの報酬系にどのように作用するのかについて神経伝達物質の動態を調べる実験を行う。
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