研究課題
本研究では、多波長観測データから銀河の系統樹の復元を目指して、以下の成果を上げることができた。1)すばる望遠鏡による可視多色撮像画像で検出した10万個の銀河の多波長データベースを作成した。2)銀河の可視・近赤外測光スペクトル解析を行い、赤方偏移、星質量、星形成率、ダスト吸収を導出し、以下を明らかにした。ア)星形成率は星質量にほぼ比例し、イ)過去ほど星形成率は大きく、星形成が進むとともに銀河中のダスト量も増加する。3)z=2までの1000個の赤外線銀河を、以下の特徴を示す赤外線の解析から星形成銀河、活動的銀河中心核(AGN)銀河、星形成+AGN銀河に分類した。星形成領域では、若い星周囲のダストから再放射された赤外線と星のレイリー・ジーンズ放射との狭間の5μm光度は弱い。一方,中心核ブラックホール周囲のダストトーラスからの放射は5μmでも強い。4)AGN 銀河の中心ブラックホールへの質量膠着率とその成長率に制限を与えた。5)AGNによってz<0.8の星形成率が抑制されている。6)X 線や可視光で検出したAGN は、赤外線AGN銀河または星形成+AGN銀河に対応した。一方で、銀河の進化系列を再構築する因果的統計推論へは道半ばとなった。データとモデルとの関係を「どのデータとどのモデルが対応するか?」と「それらがどれだけ近いか?」の2つの問題に分離して扱う数理的手法の必要性も認識した。このような平坦性(向き)と計量(近さ)を独立した幾何学的概念として捉える統計多様体は、すでに「情報幾何」で扱われて久しい。しかしながら,自然な因果構造が導入できる統計多様体上での統計的因果推論の体系はない。そこで、幾何的対象を代数的操作できる幾何代数による統計多様体の表現の体系化を進めている。これによって、多様な統計的推論を統計多様体上の幾何学的変換の連鎖として、構成的に表現することが期待できる。
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Monthly Notes of the Royal Astronomical Society
巻: 446 ページ: 911-
10.1093/mnras/stu2010
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