本研究はイオンチャネルを基礎とした細胞構造体を空間1, 2次元的に結合した偏微分方程式で記述される数理モデルを用い,①疾病(心臓や神経疾患)の発症過程の非線形揺動を抽出,②確率論的数理アプローチを用いてその時空変動の定量化を行う,③疾病の発症過程の数理物理的基礎を築くことを目的とした.「位相特異点」(「rotor」)と呼ばれる疾病の原因となる異常部位やその周辺の複雑な活動電位は間欠的で非正規分布を示し,相乗性雑音の影響を受け,長期記憶効果を有する.数値シミュレーションにより新しく特異点の変動特性をいつくかを発見し,また,それらを記述可能な新しい確率論的数理モデル/定量化法の開拓を行った.
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