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2013 年度 実施状況報告書

時間の相対化と新しい相関構造分析

研究課題

研究課題/領域番号 24650148
研究機関東京大学

研究代表者

吉田 朋広  東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (90210707)

キーワード統計数学 / 解析学
研究概要

U過程とは,Hayashi-Yoshida推定量を基礎に,時系列間のリード・ラグを計量するために定義された確率場のことである.U過程を介し,企業や通貨間のリーダー/フォロワー関係を表現するlead-lag indexを提案したが,その統計的性質,構造安定性の研究を進めた.データ解析のためのソフトウエアの整備,実データ解析を行った.
さらに,マイクロストラクチャーのモデリングという,計画より一歩踏み込んだ研究に進んだ.マイクロストラクチャーは従来, efficient priceがノイズによって汚染されるとの立場が,多くの研究でとられてきたが,最近マイクロストラクチャーをノイズと考えず,株価の微細構造の反映として,それ自身をモデリングする試みを行っている.点過程が微細構造を表現するのに役立ち, Epps効果などの現実データで起きる現象を再現できることがわかってきた.本研究では,この本質的なモデリングの可能性を探り,現象の解明および新しいリード・ラグ指数の研究を行った.減衰係数が一般にランダムなHawkes型点過程間にラグパラメータを導入し,最尤型推定量の漸近挙動を調べた.統計的パラメータは係数を記述する滑らかなものと,ラグを表現する非正則なものがあり,推定量の一致性と漸近分布の研究を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

筆者らが提案したセミマルチンゲールに対するリード/ラグ・インデックスは,内外でそれを利用した解析が始まっている.マイクロストラクチャー対応や実証分析が進んでいるが,マイクロストラクチャーをノイズとして除去する従来の方法ではなく,それを情報としてモデリングし現象解析する,点過程によるリード・ラグ推定という新たな試みを行い,推定量の挙動に関する理論的な結果を得,数値実験も行っている.当初予定の技巧を越えてはいるものの,大きな成果が期待でき,この意味でおおむね順調に進展していると判断する.

今後の研究の推進方策

点過程によるリード・ラグの推定法の基礎研究を行う.点過程の方法は,スケーリングによって近似であるところのセミマルチンゲールのリード・ラグモデルと対応すると思われ,双方向からの研究を続けて行う.

次年度の研究費の使用計画

株価/為替の変動におけるマイクロストラクチャーをそのままモデリングするために点過程によるアプローチを行い,さらにリード・ラグを導入し,その推定法を提案した.推定量の解析的性質を調べた.数値実験を行い,この方法がラグを捉える可能性がわかってきたが,研究は当初予定の技巧の範囲を越え,実験の課題が残っている.
新たに提案した点過程リード・ラグモデルのリード・ラグ推定量の解析的性質をまとめ,数値実験とデータ解析への応用を行う.情報収集と実験等に資源をあてる.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The yuima project: A computational framework for simulation and inference of stochastic differential equations2014

    • 著者名/発表者名
      Brouste, A., ,Fukasawa, M., Hino, H., Iacus, S., Kamatani, K., Koike, Y., Masuda, H., Nomura, R., Ogihara, T., Shimuzu, Y., Uchida M., and Yoshida, N.
    • 雑誌名

      Journal of Statistical Software

      巻: 57 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quasi likelihood analysis of volatility and nondegeneracy of statistical random field2013

    • 著者名/発表者名
      Uchida, M., Yoshida, N.
    • 雑誌名

      Stochastic Processes and their Applications (Available online 6 April 2013)

      巻: 123 ページ: 2851-2876

    • DOI

      10.1016/j.spa.2013.04.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Estimation of the lead-lag parameter from non-synchronous data2013

    • 著者名/発表者名
      Hoffmann, M., Rosenbaum, M. and Yoshida, N.
    • 雑誌名

      Bernoulli

      巻: 19 ページ: 363-719

    • DOI

      10.3150/11-BEJ407

    • 査読あり
  • [学会発表] Asymptotic expansion methods for stochastic processes and their applications to statistics and finance

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, N.
    • 学会等名
      International Statistical Institute The 59th World Statiscs Congress
    • 発表場所
      香港
    • 招待講演
  • [学会発表] Statistics for volatility: change point, model selection, and lead lag

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, N.
    • 学会等名
      統計数理研究所リスク解析戦略研究センター 第2回金融シンポジウム「ファイナンスリスクのモデリングと制御」
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] Inferential statistics for volatility under high and ultra high frequent sampling schemes: QLA, model selection, and lead-lag

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, N.
    • 学会等名
      Statistical Analysis and Related Topics: Theory, Methodology, and Data Analysis
    • 発表場所
      パリ
  • [備考] 東京大学大学院数理科学研究科 統計グループ

    • URL

      http://www2.ms.u-tokyo.ac.jp/probstat/?page_id=15

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公開日: 2015-05-28  

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