研究課題
高頻度離散観測下での相関構造分析はEpps効果の認識以来,観測の非同期性とマイクロストラクチャーの存在が原因であることが明らかになり,非同期性の問題は2000年代のHY推定量等の導入によって解決された.非同期推測の問題は,ボラティリティのパラメトリックモデルに対する疑似尤度解析の確立によって,非同期共分散推定法を含む形で,ボラティリティを介した新しい相関構造分析への漸近決定論的アプローチが可能になった.セミマルチンゲールを基礎モデルとするリード・ラグ推定は,HY推定法のアイデアを発展させたリード・ラグ・インデックス(HRY推定量)があり,本研究でその理論と計算モジュールの深化により実用化へ進展した.近年,共分散推定の研究のトレンドは非同期観測下でのマイクロストラクチャーをノイズと想定し,その除去に向かって来たが,マイクロストラクチャー自身が構造を有し,情報抽出のための推測論の対象となるという新たな研究が現れ,本課題もその方向に進んだ.具体的には,点過程回帰モデルによって,点過程の強度関数を場として,超高頻度データに対する新しい相関構造分析のツールを提案した.統計的漸近理論により,有限時間で強度関数が大きくなる状況で,疑似最尤推定量の漸近挙動が明らかになった.
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Journal of Statistical Software
巻: 57, no. 4 ページ: 1-51
Stochastic Processes and their Applications
巻: 124, no.9 ページ: 2954-3008
10.1016/j.spa.2014.03.014
http://www2.ms.u-tokyo.ac.jp/probstat/?page_id=15