研究課題
目的:近年の遺伝子解析手法では、症例数に比して解析可能な疾患関連遺伝子の候補遺伝子数は膨大な数となる。この場合、疾患関連遺伝子の同定のための回帰分析は、正しい結果を導けない.本研究の目的は、elastic net罰則化法によるCoxの比例ハザードモデルにおける検出力推定プログラムを作成し、いくつかの変法とともに統計学的特性を検討した.方法:マイクロアレイ解析における種々の条件下で、比例ハザードモデルに従う生存時間乱数を生成し、同データをトレーニングセットとする.これを用いてelastic net罰則化法による比例ハザードモデルの解析を実行し、有意な遺伝子の選択とその回帰係数を算出する.その後、同じ条件下で別の生存時間乱数を生成しバリデーションセットとする.トレーニングセットの情報を用いて、バリデーションセットの各症例に対して予後指数を算出する.その中央値に基づき、バリデーションセットを高リスク群と低リスク群の2群に分け、2群間でのlog-rank検定を行う.以上の手続きを2000回行い、検出力(P値が0.05未満になる割合)を算出する.設定条件は、各遺伝子の回帰係数=1.0、真の遺伝子数=100、候補遺伝子数=5000~20000、症例数=50~200とした.結果:検出力は症例数の増加と共に増加し、候補遺伝子数の増加と共に減少したが、症例数が150以上になると、いずれの候補遺伝子数においても検出力は80%以上となっていた.バリデーションセットにおけるすべての手法での検出力は、トレーニングセットのそれに比べて小さかった。これ以外に、選択された遺伝子数とその回帰係数と標準偏差、陽性的中率を網羅的に調べて特性を明らかにした。結論:マイクロアレイデータ解析の研究計画の立案や結果の評価の際に、本シミュレーションプログラムは有用であると考える.
すべて 2013
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Journal of Alzheimer's Disease
巻: 35 ページ: 387
10.3233/JAD-122395