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2012 年度 実施状況報告書

癌上皮間葉転換における癌アトラクターの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24650154
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

田中 博  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60155158)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード生体生命情報学 / システム生物学 / 癌アトラクター
研究概要

癌の機序の解明には、転写やシグナル伝達の個々の因子の理解のみならず、「発生分化のシステムの乗っ取り」という観点から、癌を細胞システムの異常として大局的に理解するアプローチが必要である。具体的にはシステム論的に癌の発症・進行をアトラクター(細胞システムの動的解)の遷移として解明する方法が有効である。すなわち、癌の進行機序を、正常細胞の遺伝子発現パターンを呈示するアトラクターから逸脱して、癌アトラクターへの遷移として把握することが重要である。本研究では、この観点から癌の転移における上皮間葉転換を癌アトラクターの遷移として解明し、癌アトラクターを規定する転写調節ネットワークと秩序パラメータを解析する。このアトラクター形成を阻害することによって転移阻害薬剤の標的探索に寄与することが期待される。初年度の平成24年度は、まず、細胞の遺伝子発現に基づく発現ポテンシャル場を定式化した。この定式化に基づき、癌細胞の悪性化の過程である上皮間葉転換について、TGF-βにより刺激誘導したヒト培養細胞の、時系列のマイクロアレイの遺伝子発現データを用いて、主成分分析により細胞の状態空間を算出した。この細胞の状態空間において、遺伝子発現量に基づいて各細胞状態の出現頻度を求め、その頻度分布を算出した。この頻度分布を各細胞状態の出現確率とし、すなわち細胞の遺伝子発現に基づく発現ポテンシャル場とした。ポテンシャル面の算出は平成25年度に予定していたが、前倒しで計画を実施したものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成24年度の研究計画は予定通り実施した。発現ポテンシャル場の算出は平成25年度に予定していたが、前倒しで計画を実施したものである。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、発現ポテンシャル場を定式化し、癌細胞の悪性化の過程である上皮間葉転換について、TGF-βにより刺激誘導したヒト培養細胞の、時系列のマイクロアレイの遺伝子発現データを用いて、発現ポテンシャル場を算出した。
(1) アトラクターの同定とその遷移解析: 算出した発現ポテンシャル場において、癌細胞の悪性化の軌跡(トランジェクトリー)を描き、上皮間葉転換の発現ポテンシャル場におけるアトラクターを同定し、その遷移を解析する。上皮間葉転換についてのこれまでに文献に報告されている知見と照らし合わせて、同定されたアトラクターとその遷移について生物学的な検討を行う。
(2) 秩序パラメータの算出・解析: アトラクターの遷移をマクロに捉える量として秩序パラメータの定義・算出と、その解析を行う。
上述の通り、上皮間葉転換の遺伝子発現のアトラクターの同定方法の開発を実施する。

次年度の研究費の使用計画

アトラクターの同定とその遷移解析および秩序パラメータの算出・解析のための解析サーバ費、データストレージ、プリンタ用紙、成果発表および研究打ち合わせのための国内旅費および外国旅費、人件費・謝金、研究結果投稿費を使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] "Expression trajectories" of reprogramming and differentiation on expression potential field.2012

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Miyamoto, Soichi Ogishima, Jun Nakaya, Hiroshi Tanaka
    • 学会等名
      生命医薬情報学連合大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀
    • 年月日
      20121014-20121017

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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