がん転移の機序である上皮間葉転換(EMT)の理解を目指して、細胞のすべての発現パターンを包摂した「細胞状態空間」上で上皮細胞と間葉細胞の各細胞状態の安定性を表す準ポテンシャル分布を計算し、がんのEMT過程の軌跡を求めた。 その結果、EMTは上皮細胞のpotential basinから直接に間葉細胞 basinに移動するのではなく、一旦、安定な中間状態(臨界的状態あるいは幹細胞状態と思われる)を経て間葉細胞に移行することが分かった(EMTの3段階論)。また、EMT過程の遺伝子発現プロファイルから推定した遺伝子ネットワークの構造変化から、遺伝子ネットワーク上でも3段階に変化することを確認した。
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