蛋白質の水和熱力学量はその機能を議論する上で必須であるが、その計算は蛋白質分子の巨大さと複雑さのため困難を極める。本研究は『Hadwigerの定理』に基づいて蛋白質の水和熱力学量を簡便に計算する方法論の開発可能性及びその汎用性を検討するものである。その定理から導かれる系の形状と物理量の関係性を、溶質分子と水和熱力学量に適応すると、溶質分子の4つの幾何学的指標とそれに掛かる係数によって表記される。本研究では、巨大分子の水和熱力学量がこの定理式に従うと仮定し、水和熱力学量の計算を非常に簡便に行うことができることを示した。しかもlogPの計算への応用が可能になるなど、汎用性が極めて高いことが解った。より具体的な方法論としては、一連の計算手続を確立し、複雑な分子の水和熱力学量に関する優れた計算手法の開発を実施した。
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