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2012 年度 実施状況報告書

垂直眼球運動系の速度‐位置変換に関与するニューロン・シナプス特性

研究課題

研究課題/領域番号 24650160
研究機関群馬大学

研究代表者

齋藤 康彦  群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70290913)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード神経生理学 / 視線制御 / 神経積分器 / パッチクランプ法
研究概要

眼球運動系において眼球速度信号から位置信号への変換が神経積分器において行われている。水平性眼球運動の神経積分器である舌下神経前位核(PHN)についての様々な知見が蓄積されているが、垂直性眼球運動の神経積分器であるカハール間質核(ICN)においては、これまでニューロン、局所神経回路についてはほとんど調べられていない。本研究では、ICNニューロンの電気生理学的、形態学的特性やICN内の興奮性シナプス伝達機構を調べ、PHNにおける知見と比較することで共通な特性や違いを明らかにし、神経積分器のメカニズム解明に寄与することが目的である。本年度はラット脳スライス標本にてICNニューロンからホールセル記録を行い、スパイク後過分極(Afterhyperpolarization、以下AHPと略す)とスパイク発生様式(発火パターン)を調べた。その結果、75%以上のICNニューロンがスパイク後脱分極を伴うAHPを示し、PHN(53%)に比べその割合が高かった。ICNではカルシウムスパイクを伴うバースト発火を示すニューロンの割合がPHNに比べ多く見られた。また、PHNで10%弱見られた低周波の発火を示すニューロンはICNでは見られなかった。以上の結果から、神経積分器を構成するニューロンの種類は水平系と垂直系でほぼ同じであったが、その分布については異なることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ICNは今回初めて研究対象にする脳領域であるため、当初はICNの境界を判別するのに時間がかかるものと考えられた。また、文献によるとICNはPHNに比べニューロンの密度が低いようであり、従って、ICNニューロンからの記録に容易でないことが予想された。実際に何度か試行錯誤を繰り返した結果、スライス標本にてICNニューロンからホールセル記録をすることが可能になり、これまで95個にも及ぶニューロンから記録し、それらの電気生理学的特性を解析するに至ったことから、おおむね順調に進行していると考えられるため。

今後の研究の推進方策

これまで、抑制性ニューロンが蛍光色素を呈するトランスジェニックラット(VGT-Venusラット)を用いて、PHNの抑制性ニューロンの特性を明らかにしたが、ICNの抑制性ニューロンについては調べていない。そこで、まず、VGT-Venusラットを用いてICNの抑制性ニューロンの特性を調べる。次に、PHNとICNは前庭神経核との神経連絡により神経積分回路を構成しているが、どのニューロンがその回路に関与しているのかは明らかでない。そこで前庭神経核に逆行性トレーサを注入し、逆行標識されるニューロンから電気生理学的特性を調べ、どのニューロンが神経積分回路に関与しているのかを明らかにする。さらに、ICNを局所刺激し、PHNにおいて観察された興奮性シナプス後電流の発生頻度の増大が観察されるのかについて調べる。

次年度の研究費の使用計画

研究遂行に必要な、実験動物(ラット)の購入、飼育代やガラス管などの実験器具の購入に加えて、次年度は逆行性トレーサの注入実験を計画しているのでそれに必要な試薬を購入するために研究費を使用する計画である。また、次年度は本研究に関する調査と討論にために、国内と海外の学会へ参加する計画をしており、そのための旅費にも使用する計画である。さらに、本研究成果を学会誌で発表するために、英文校閲と投稿にかかる費用への使用も計画している。

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公開日: 2014-07-24  

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