神経系は構造的にほぼ左右対称であるとされるが、ヒトで言語中枢が左半球優位であるなど機能的には非対称である。申請者は「神経系の非対称性の根源が分子のキラリティにある」との新規概念を提唱する。本研究では、「アクチンフィラメントの右巻き二重らせん構造とミオシンVモーターのキラルな分子構造が、アクトミオシン系の左らせん運動を発生させ、それが成長円錐フィロポディアの右ねじ回転運動を駆動し、それが神経突起の右旋回運動を発生させる」という仮説を立てた。仮説の検証を行うための基盤技術として、ミオシン分子のキラリティを改変する手法と、神経細胞の回転運動を高速・高解像度で捉える画像変換手法を開発した。
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