研究課題
近年我々のグループでは、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)およびRVGと水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSVG)の一部から構成される融合型糖タンパク質(FuG-C)を用いて、ニューロン特異的逆行性遺伝子導入(Neuron-specific retrograde gene transfer; NeuRet)ベクターを開発した。この外被糖タンパク質であるエンベロープは、アミノ酸配列改変による逆行性遺伝子導入に与える性質の変化が多様であるため、その構造改変を行うことでさらに高頻度な遺伝子導入能を示すタイプの新規エンベロープを獲得できる可能性があった。平成25年度においては、前年度に引き続き融合型糖タンパク質におけるRVG/VSVGの境界位置の最適化のため、その境界位置をずらした様々なタイプの融合型糖タンパク質を遺伝子組み換えにより作製した。はじめ、RVG/VSVGの境界位置を3アミノ酸ずつずらしたタイプのエンベロープにシュード化した逆行性ベクターを作製して、マウス線条体に注入、4週間後に線条体に投射する神経核への遺伝子導入を免疫組織化学的手法により染色して可視化した。この結果、RVG/VSVGの境界位置がFuG-C型糖タンパク質の位置、またはその前後にもっとも高い遺伝子導入を示す融合型糖タンパク質が存在することを見出した。そこで、FuG-C型の構造を基点とし、RVG/VSVG境界位置を前後に1アミノ酸ずつずらしたタイプの融合型糖タンパク質を作製、それぞれにシュード化した逆行性ベクターを上記同様にマウス線条体に注入して、逆行性遺伝子導入による陽性細胞数の比較を行った。これにより、FuG-C型に対して、VSVG配列が1アミノ酸長い(RVG配列が1アミノ酸短い)タイプの融合型糖タンパク質が最適な境界位置であることを明らかにした。
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